皿洗い、早く終わるのは1枚ずつか、まとめてか?「効率化」の思い込みを覆し、今日からすぐできるコツ
家計簿をつけるのが苦手だ。1週間分をまとめてつければ効率がいいと思っているが、いざレシートを前にすると結構な枚数になる。正直、面倒くさい。でもがんばってやるか。と、毎回気合が必要だ。
そんな面倒くさがりの私に、「効率化にがんばりは必要ない」と教えてくれたのが『家事から仕事まで使える がんばらない効率化』(諏訪寿一/PHPエディターズ・グループ)だ。効率化とは、まとめて一気にやることだと思っていないだろうか。その思い込みを覆す効率化のコツを紹介しよう。
『家事から仕事まで使える がんばらない効率化』(諏訪寿一/PHPエディターズ・グループ)
一定の速度で10枚の皿を洗うとき、
A すべての皿を洗剤で洗ってからまとめてすすぐ
B 1枚ずつ洗剤で洗ってすすぐのを10回繰り返す
どちらが早く終わるだろうか。私はAだと思っていた。同じ作業をまとめたほうが、手順が簡単で効率がいいと考えたからだ。
しかし本書の実験によると、なんとBのほうが26秒も早い。「たった26秒か……」と侮るなかれ。本書掲載のQRから視聴できる動画を見てみると、その差はかなりのものだ。
ひとつの作業をまとめて済ませてから次に移ることを「効率的」だと考える。私を含め、そういう人は多いのではないだろうか。著者の諏訪寿一氏によれば、それは「まとめて一気にやる方が、時間がかかってがんばっている感じがするから」と指摘している。本当に効率よく物事を進めたいのなら、まずは、その意識を改めるべきなのだ。
効率化のコツはたった2つ。作業を「まとめない」、作業途中の物を「ためない」ことだ。
皿の例だと、作業を「洗う」と「すすぐ」で分けてまとめたことで「洗ったけどすすいでいない」作業途中の物が生まれる。持ったり、置いたりする回数が増えれば、それだけで時間がかかるのは当然。一度手に取った皿は泡を流すまで済ませば、結果、作業はスムーズに片付くのだ。
これは複数人での作業も同じ。10個のダンボールをふたりでバケツリレー式に運ぶのと、ふたりがそれぞれスタートからゴールまで運ぶのとでは、後者のほうが早く終わる。これは受け渡しで作業に詰まりが生まれるため。効率よく作業するには、手間取るポイントが無いか、作業途中の物が無いか、に注目すると、問題点が明らかになる。
学校の時間割はとても効率的。50分程度の授業の合間に休憩を挟みながら、1日5~6教科を少しずつ勉強できる。
著者曰く、仕事や家事も「毎日少しずつ」が効率的。年末の大掃除は、まさに「まとめて掃除する」作業だが、1年分の汚れを落とすのは大変だ。家で窓掃除担当になった著者は、場所を決めて毎日10分だけ掃除をしているという。そうすることで掃除1回の労力が少なくなり、汚れが溜まらなくなる。年末の大掃除は大幅に時間短縮できたそうだ。
効率化がうまくいくと、短い時間でがんばらずに作業できる。著者の会社では「まとめない」「ためない」の徹底で、仕事が早く終わるようになり、従業員の心と体に余裕が生まれ、生産性も上がり、給料アップが叶ったという。
「まとめない」「ためない」「毎日少しずつ」を意識して、家事や仕事の仕方を振り返ってみてはいかがだろうか。
本書では皿洗いや荷物を運ぶバケツリレーのほかに、洗濯物をハンガーから外して畳む、複数の資料を配布する、などさまざまな場面で「まとめる」「まとめない」のどちらが早いかを検証している。私は読んだだけではまだ「そんなに変わらないでしょう」と思っていたが、本書から視聴できる動画を見ると、その差は一目瞭然。ぜひご自身の目で確認してほしい。
文=冴島友貴
記事提供=ダ・ヴィンチWeb
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