推し変いかが?『幽☆遊☆白書』『NANA』…大人になってから良さを理解した漫画のキャラクター5選!
目次
・『イタズラなKiss』金ちゃん(池沢金之助)
・『幽☆遊☆白書』桑原和真
・『地獄先生ぬ~べ~』鵺野鳴介
・『ふしぎ遊戯』星宿
・『NANA』遠藤章司
学生時代は、刺激的で一緒にいると楽しい人が好きだったけど、大人になった今は違う。穏やかで、優しくて、包容力があって、話題豊富で、自己肯定感が高い人がいい…。年齢を重ねるうちに、好きな人のタイプが自然と変わるように、漫画のキャラクターもそうではないでしょうか?
昔はなんとも思っていなかったのに、久々に読み返すと、「あれ? このキャラ、こんなに格好良かったっけ!?」と、気づかされることがしばしばあります。メインキャラじゃないけど、不遇のキャラだけど、でもよく考えたらめちゃくちゃいい男。そんな隠れナイスガイたちを、独断と偏見でピックアップしました。
※本記事には、作品の内容を含みます。未読の方は、ご了承の上お読みください。
『イタズラなKiss』(多田かおる/ミナトプロ/エムズ)
ドジで単純、万年赤点だけど、超一途な女の子・琴子と、超天才の美青年・入江くんが繰り広げる、ご存じ傑作ラブコメディ。入江くんが永遠の憧れであることは変わりないのですが、今回注目するのは、金ちゃん(池沢金之助)です。
琴子に片思いする金ちゃんは、作中、完全なる当て馬として描かれています。何度も入江くんに立ち向かっては撃沈。強烈なアプローチに琴子にも呆れられる始末。
昔は、その凄まじい行動力に若干引いていましたが、どんなに惨めな思いをしても、めげずに琴子にアタックし続ける金ちゃんは、もっと評価されてもいいのでは? と思ったのです。
高校卒業後、琴子のために料理人を目指す金ちゃんですが、その過程でとうとう琴子にフラれてしまいます。しかし、仕事を投げ出すことなく努力し続け、最終的には店を任されるまでに成長。大失恋しても、腐らずに頑張り続ける。金ちゃんは金ちゃんで、入江くんとは違った魅力を持っているんですよね。失恋後も、琴子や入江くんの相談に乗るなんて、彼にしかできません。本当にいい男です。
『幽☆遊☆白書』(冨樫義博/集英社)
主人公の浦飯幽助を筆頭に、蔵馬、飛影と、美形揃いのメインキャラの中で、唯一「美形ではない」枠の桑原。札付きのワルで、喧嘩っ早く、ガチャガチャうるさいだけの男だと思っていました。昔は。ちゃんと読み返すと、桑原って自分の気持ちをちゃんと伝えられる、ただのいい男でした。
物語序盤で幽助が死んだときも、同級生たちがヘラヘラしている中、桑原だけは本気で悲しんでいました。幽助の体が燃えそうなピンチにも、すぐに駆けつけてくれました。そして何より、彼は猫を愛する男なのです。愛猫の「永吉」が誘拐された桑原は、永吉を取り返すために土下座します。しかし、「仲間を殴れ」という命令だけは突っぱねました。永吉は大事、だけど仲間を殴ることはできない。…優しすぎませんか?
物語終盤には、勉強に目覚め、周囲から無謀と言われる高校への補欠合格を果たします。やっぱり努力できる人って格好いいですよね。大人になった今は桑原がナンバーワンです。
『地獄先生ぬ~べ~』(真倉翔:原作、岡野剛:作画/集英社)
鵺野鳴介(ぬえのめいすけ)は、童守小学校5年3組の担任の先生です。左手に鬼を封印しており、強力な霊能力を持って、生徒たちを悪霊から守る熱血漢です。
このラインナップに、ぬ~べ~を入れるのは間違っていると思う人も多いかもしれません。「ぬ~べ~の良さに今さら気づくなんて遅すぎる」という声も実際聞こえています。批判を恐れず言うと、筆者はぬ~べ~の良さに気づいていませんでした。いつも金欠で、カップ麺ばかり食べてて、スケベなおじさんくらいにしか思っていませんでした。そんな自分が恥ずかしいです。
だって、あんなに仕事熱心で、生徒思いの先生がいますか? 生徒だけでなく、霊にも優しい。運動神経も良く、ガタイも良く、社交的な性格で、博識です。霊や妖怪に関することなら知らないことはないし、それにまつわる歴史的背景にも詳しい。金欠だって、大抵は生徒のための出費です。足りないなら、こちらが補填してやろうくらいの気概があったっていいと思います。いつの間にか年下になったぬ~べ~に、そんな気持ちになったのでした。
『ふしぎ遊戯』(渡瀬悠宇/小学館)
ある日、図書館で「四神天地書」という中国の古い書物を見つけた美朱。本を開いた途端、光に包まれ、気づくとそこは本の中の世界。ひょんなことから、「朱雀の巫女」となった美朱は、紅南国を救うための旅に出ることに…という壮大なストーリー。1992年より連載スタートした本作は、綺麗な絵柄とちょっとエッチな描写が大ウケし、乙女たちのバイブルとなりました。
主人公・美朱の周りには、「朱雀七星士」という美形の仲間たちが揃うのですが、「誰が一番好きか」で友達同士よく盛り上がったものです。個性的なキャラばかりなので、当時から推しメンにはバラつきがありましたが、今選ぶなら、間違いなく星宿(ほとほり)でしょう。紅南国の皇帝で、女性に間違えられるほどの美形。美朱に惹かれるものの、鬼宿に気持ちがあることを悟ると潔く身を引きます。
我の強いメンバーの中にいると埋もれがちですが、じつは誰よりも情緒が安定していると思うんです。優しいし、物腰が柔らかい。でも、恋する男モードのときは強引に迫る。18歳とは思えない大人の余裕を見せつけるのは、彼に皇帝というバックボーンがあるからでしょう。
じつは軫宿(みつかけ)とも迷いましたが、寡黙すぎるのも困るかなと思い、星宿にしました。異論は認めます。
『NANA』(矢沢あい/小学館)
とても悩みましたが、あえてラインナップに入れてみました。主人公の奈々の、元カレです。
共通の友達・淳子を介して出会った2人は、やがて相思相愛に。最初はうまくいっていたのですが、少しずつすれ違っていきます。最終的には章司がバイト仲間の幸子と二股をして、奈々を振るのです。なんて酷い男なんだとティーンの頃は憤慨していましたが、今読み返すと、奈々のわがままも大概なんですよね。あれ? こんな女の子だった? と驚くほどです。これには章司にちょっと同情の余地があるかな、と思ったのですが、どうでしょうか。あとは、この漫画に登場する男たちが、みんな一癖二癖あるので、なんだかんだ章司が一番居心地がいいのかも思ったのですが、やっぱりダメですか。
今回紹介したナイスガイたちを見て、「今さらいい男だって気づいたの?」「遅すぎない?」「いやいや、こっちの人のほうが…」そんなご意見もあるかもしれません。ぜひ、盛り上がりましょう。何歳になっても、好きなキャラで議論できるっていいですよね。あなたは誰に推し変しますか?
文=中村未来
記事提供=ダ・ヴィンチWeb
この記事で紹介した書籍ほか
イタズラなKiss 1巻
(フルカラー版)
幽★遊★白書 1
(ジャンプコミックスDIGITAL)
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