防災の専門家が推奨! 夏ドライブ前に知っておきたい「もしも」に備える便利な防災グッズ
帰省や旅行、キャンプなど何かと車で遠出する機会が多い夏シーズン。楽しいおでかけで気分も浮かれ、「不測の事態」に対する準備にまで気が回らない人も多いのではないだろうか。
予測のしづらい災害も「備えあれば憂いなし」ということで、今回は日本防災教育訓練センターの代表理事を務めるサニーカミヤさんに、車に積んでおきたい防災アイテムを伝授してもらった。
18歳から61歳の現在に至るまで防災に携わり、訪れた34カ国で被災の現場を目の当たりにしてきたことで、さまざまな対応策を講じてきたというサニーカミヤさん。地震や台風、土砂災害、火山の噴火など自然災害に見舞われるリスクの高い日本では、そもそも車に乗る時にはどのようなことに気を付けるべきなのか? 普段から実践している心得を教えてもらった。
<1>向かう場所の気象状況、ハザードマップを確認
「出かける前にこれから向かうエリアの気象状況、市町村ホームページにあるハザードマップを確認し、地域の災害特性(富士山等の噴火災害、南海トラフ地震における津波エリア、洪水・液状化・土砂崩れハザードマップなど)を確認します」
<2>最低限の防災グッズを車載しておく
「旅行に出かけなくても、日常使用時も含めて最低限の防災グッズを車載しておくことで、長時間の大渋滞などさまざまな状況に対応できます」
<3>燃料が半分になったら、満タンにする
「停電時は車内で充電やWi-Fi利用などがまかなえるため、ガソリン車、ハイブリッド車、電気自動車など車種にもよるものの、燃料が半分になったら満タンにします。熱中症や低体温症対策として車内の冷暖房は欠かせませんが、走らずに適温を保てば、満タン時は約24時間使うことができます」
長距離ドライブ時、万が一の事態に備えてどのようなものを車に積んでおくべきなのか?サニーカミヤさんに、車載しておくべきマストアイテムから、あると便利な物まで、その理由と共に挙げてもらった。
<飲料と食料>
「日頃から、水最低2リットル程度と熱中症対策用の粉末のスポーツドリンクやクエン酸入りパウダー、プロテインバーといった常温でも車載備蓄できる食料、マルチビタミン、持病の薬などは準備しておきましょう。車中避難することを前提とした歯磨きセットなども常備しておくとストレスを軽減できます」
<車中泊セット>
「車中泊することを前提にした必要最低限のキャンプセット。1人用の寝袋、登山用カセットコンロやガス、調味料、レトルト食品、米、水があれば2〜3日は過ごせます。ナビで道の駅など、車中泊できる場所を調べておくとスムーズに避難できます。場合によっては、各種施設の立体駐車場が避難場所になることもあります」
<ヘッドライト、ランタン>
「夜間、道路の損壊で徒歩帰宅することになった場合に備えて、頭に装着できる防水のヘッドライト(車内のUSB等で充電可能なタイプ)を2セット準備しておきましょう。使用時には最小限の明るさに調整してバッテリーを持たせることが大切です。また、車のバッテリーの消耗を少なくするために太陽光で充電できるランタンなどを常備しておくと便利です」
<耐刃手袋、チェーンやスコップ>
「災害時は、各種道路管理会社などが同時多発的な対応に追われるため、要請しても来られない可能性が考えられます。最低限必要な道具として雪害エリア、土砂災害エリアであれば、チェーンやスコップ、他にも耐刃手袋を用意しておくことで、事故で道路等に散乱したガラス類などを除去し、パンクなどを予防することもできます」
<フルシェイド>
「全ての窓に設置可能な日よけを車載することで、車内温度が上がらないように予防できます」
<ポリタンク、シャワーセット>
「サーフィンやダイビングをされる方はすでに車載されている場合も多いと思いますが、黒いポリタンクに水を入れて直射日光に当てることでお湯が作れます。車の屋根に載せたポリタンクにシャワーセットを取り付ければ、体を洗うことも可能です」
<着替え>
「短パンと半袖、草履など身軽な服を旅行用の圧縮袋に入れておきましょう」
<蚊除けスプレー>
「帰宅できない場合、燃料の節約で窓を開けた状態にするといったシチュエーションが多くなることが予測されるため、蚊除けスプレーがあると便利です」
<冷却マット>
「常温でも体を冷やせる冷却マットは複数枚用意しましょう」
<エアマットとエアピロー>
「忘れがちなのが空気枕です。場合によってはアスファルトの上など車外で寝ることも想定し、可能な限り家に居る時と同じくらい快適な睡眠環境を工夫することが大事です」
<予備のスマホ>
「使わなくなったスマホはWi-Fiにつなげばネットにアクセスできるため、SNS等を用いて、家族と通話できることもあります」
遠出中のトラブルはもちろん、自然災害によりライフラインが止まることが珍しくない今、自家用車を一時的な避難場所として活用するケースも。そういった不測の事態に対応するためにも、今回挙げてもらったひと通りの防災グッズを日頃から車に積み込んでおいてほい。
文=野宮ジュン
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サニーカミヤ
元福岡市消防局レスキュー隊小隊長。元国際救急援助隊所属。元ニューヨーク州救急隊員。台風下の博多湾で起きた韓国籍貨物船事故で4人を救助し、内閣総理大臣表彰受賞。人命救助者数は1500人を超える。 NHK他テレビ・雑誌などで防災・防犯コメントでの出演実績多数。年間330回以上の防災講演を行う。