防災

突然の停電、まず何をすべき? 日頃の備えと復旧までの過ごし方

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夏から秋にかけては、雷雨や台風の発生数がもっとも多くなる季節。激しい風や雷で電線や変電所などの設備が被害を受けると、大規模な停電が起こる恐れもあります。今年も8月上旬に関東地方で起きたゲリラ雷雨の影響で、首都圏では1万戸以上が停電。また、大型の台風6号の影響を受けた沖縄では、県内の約22万戸が停電しました。

突然の停電に、私たちはどう対応すればよいのでしょう。全国で最も停電件数が多いとされる沖縄県で防災士として活動する稲垣暁さんに、日頃の備えや心構えをお聞きしました。

停電したら冷凍庫の食品や氷をすぐに冷蔵庫へ移動

停電が起こったら、「まずは、停電前に使用していた電化製品の電源を確認しましょう」と稲垣さん。多くの家電の電源がオンになったままだと、通電が復旧した際に一気に電流が流れ、大きな負荷がかかる恐れがあります。 「安全のため停電中はブレーカーをオフにしておくのもひとつの手。ただしずっとそのままにしておくと通電の復旧に気付きにくいため、こまめに確認をしてください」(稲垣さん)

また、気温の高い時季の停電で最も困るのが冷蔵庫の対応。「放っておくと、庫内の食品がどんどん傷んでしまいます。すぐに冷凍庫内にある冷凍食品や氷などを冷蔵庫に移動しましょう。これで、冷蔵庫内の温度の上昇がかなり防げます。氷を冷蔵庫内に移す際は、ボウルなどに入れると庫内を効率よく冷やせますよ」(稲垣さん)

停電が長期にわたる場合は、食料の確保も課題に。傷みやすい食品から順に消費し、なるべく無駄を抑えましょう。

台風など停電が予想される時は、水の確保と充電の準備を!

地震などの災害と違い、台風の進路はある程度予測が可能。そのため、いざという時に慌てずに済むよう数日前からの対策が基本です。

「特にオール電化の住居では、停電が起こると給水までストップすることもあります。台風上陸の恐れがある時は、事前に貯水をしておくと大いに役立ちます」(稲垣さん)

風呂の浴槽には、200リットル前後の水がためられるが、これは水洗トイレ約30回分の水量に相当するそう。エアコンが使用できない時の水浴びや食器洗いなど、さまざまな用途でも活用できます。また、洗濯機にもあらかじめ給水をしておくと便利です。

「食品の購入時に付属する保冷剤は、捨てずに冷凍庫にキープを。また、ペットボトルの空き容器に水を入れて凍らせておくと、いざという時に重宝します。停電時に冷蔵庫内に移動させて庫内の温度が上がるのを防げるほか熱中症予防のために体に当てて冷やしたり、ペットボトルの氷が溶ければ飲用水にもできたりなど、いろいろな使い方ができます」(稲垣さん)

もちろん、飲料水の確保も重要。日頃から、1人当たり一日約2リットル×2~3日分の水を、家族の人数分だけ備蓄しておきましょう。停電が予想される際は、備蓄用の水に加えて、やかんや水筒などにも可能な限り貯水を。また、スマートフォンやモバイルバッテリー、パソコン、掃除機など充電が必要な家電や通信機器はしっかりとフル充電しておくことも忘れずに。

防災準備品にプラスしたい停電時に役立つグッズはこれ

近年では、停電対策に役立つさまざまなグッズも販売されています。防災士の稲垣さんが実際に使用している、おすすめの防災用品を教えていただきました。

<ヘッドライト>

頭部に装着するタイプのライトは、両手が自由に使えるため作業時に便利。ファミリー世帯では、つるせるタイプのランタン、懐中電灯と併せて準備をしておくと万全。

<蓄電池>

あらかじめ充電しておくことで、停電時に電気の供給元として使える便利な装置。最近ではさまざまなタイプのUSBポートやコンセントに対応した商品もあり、ネット通販などで数千円と手頃な価格で入手可能です。

<クーラーボックス>

保冷剤などと併用することで、冷蔵庫内の食品の保管に役立ちます。暑い時季は特に、熱中症予防の観点からも一つあると安心。

暑い時季の外出時は、水分や冷却アイテムを持ち歩こう

台風の接近が予想される際、通勤や通学などでどうしても外出せざるを得ない場合は、停電時に備えて小型のライトを携帯しておきましょう。他にも暑い時季はネッククーラーや扇子などの体を冷やせるグッズも役立ちます。

「停電時にはエアコンもストップするので、コンクリートの建物内や電車内は熱がこもりがちに。夏場は特に、熱中症予防のためにも体を冷やすものを準備しておきたいですね」(稲垣さん)

扇子やうちわを水でぬらしてあおぐと、ミスト効果で涼しく感じられるそう。また制汗シートで首回りなどを拭くだけでもずいぶんとさっぱりします。水分もいつもより多めに持ち歩いておきましょう。

停電は台風や雷の影響だけでなく、地震などの災害時にも起こる恐れがあります。この機会に、自宅の防災準備品や日頃の持ち物についてもしっかりと見直しておきたいですね。

取材・文=植木淳子

稲垣暁

防災士・社会福祉士。「一般社団法人 災害プラットフォームおきなわ」理事。1995年に発生した阪神淡路大震災で被災後、現地で新聞社勤務を続けながら再生活動に携わる。沖縄に移住後は自身の被災体験を基に、県内だけでなく県外被災地でも災害支援活動を続けている。

 
 

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