地元・埼玉が舞台の『ラストサマーウォーズ』で映画初出演の井上小百合、「好きなものを大事にする気持ちをなくさないでほしい」
狭山茶の産地として有名な埼玉県入間市。内気な映画オタクの小学6年生の男子・陽太が、2学期には外国に引っ越してしまうクラスメートの明日香をヒロインに自主映画を撮影することに。彼ら“入間西少年撮影隊”のひと夏の奮闘を描いた映画『ラストサマーウォーズ』が、6月24日（金）ユナイテッド・シネマ入間にて先行ロードショーに続き、7月1日（金）より全国順次ロードショーされる。
本作で、陽太たちを見守る小学校の若手担任教師役を演じるのが、アイドルグループを卒業後、現在は舞台を主軸に活躍する井上小百合だ。出身地でもある埼玉県が舞台の本作で、記念すべき映画初出演を飾った彼女に、作品に懸ける思いなどを聞いた。
(C)「ラストサマーウォーズ」製作委員会
――出演が決まった際の率直なご感想をお聞かせください。
「すごくうれしかったです。地元の埼玉県で撮影できるというのも、自分にとってすごく思い入れのある作品になりそうだなという感じがしました。世の中に、自分のやりたいことや夢などを諦めざるを得ない人たちがたくさんいる中で、自分の中の『好き』を大事にする気持ちの重要性をとても感じた作品だったので感銘を受けました」
――作品から学んだことはありましたか。
「子どもたちが主体となって、自分の持っている夢や憧れに対して真っすぐに突き進む姿がとてもキラキラしていてすてきなんですが、その周りにいる大人たちの在り方も教えてくれる作品ではないかと思います。私も芸能界を目指そうとした時に、やっぱり大人たちからは反対の声が多かったんです。私のことを思って言ってくださっていたと今は思えますが、私がこの映画で演じた土方先生みたいに夢を追う自分の背中を押してくれるような方がいてくれたら、もうちょっと違ったのかなと感じました」
――小学校の先生という役を演じてみての感想をお聞かせください。
「最初は子どもたちとの距離感をどうつかんでいこうか戸惑いました。やっぱりみんなも緊張していたので、最初は好きなテレビ番組について話したりするところから始めていったんです。また、監督自身も昔、塾講師をされていた経験があるとおっしゃっていて、どういうふうに子どもと接したら距離が縮まるのかを一緒に考えたり、アドバイスをしてくださいました。最後の方は、子どもたちがふざけてゴミとかを渡してくるようになって（笑）。それくらい仲良くなれたので、役としてだけでなく、本当に生徒と先生みたいな関係性を築けた感じがしてすごく楽しかったです。お昼も一緒にお弁当を選んで、椅子を並べて学校の外で食べたりもしました」
――役を演じる上で意識したことはありましたか。
「なるべく自然体でいることを意識しました。『先生だから』こうしようという感じではなく、私の演じた土方先生は、まだ2年目の若手の新任教師で、いろいろとミスが多かったり、仕事になじめていない感じや、ちょっとドジな面もあったので、自然体でいた方がいいのかなと思い、あまり作り込まずに演じました」
――土方先生との共通点がありましたら教えてください。
「ものすごい形相で自転車でダッシュするシーンがあったんですが、実は私も普段、そんな感じで（笑）。『任せてください！』と言って、いつものようにこぎました（笑）。完成した映画でそのシーンを見ると、舞台となる入間市の風景がとてもきれいに描かれていて。何度もテイクを重ねて撮影したシーンだったので、入間の良さが分かるきれいな映像になっているのを見て、頑張って良かったなと思いました（笑）」
――井上さんは子どもの頃、どんな夏休みを過ごしていましたか。
「1歳年上の兄といつも一緒に外でセミを捕まえたりしていました。夏休みの自由研究では、セミの抜け殻を大量に集めて、作品として提出したんですけど、先生にドン引きされました（笑）。川でサワガニを釣ったり、野鳥を見に行ったり……そういう感じの子どもでした。国語や算数といった教科は全然やらないけれど、自由研究だけはめちゃくちゃ熱心に取り組んでいました。夏休みは大好きでしたね。ずっと外で遊んでいました」
――映画を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。
「埼玉県入間市が舞台となっているので、埼玉の魅力を全国に発信できたらな、という気持ちがあります。出演者の皆さんも埼玉県出身の方が多くて、同じ地域で育ってきた人たちが東京で再会して、地元で仕事ができたというのは、とてもうれしかったです。この作品には、何か自分の好きなものや憧れているものなどを大事にする気持ちをなくさないでほしい、というメッセージも込められている気がしていますし、夢を諦めてしまったり、壁にぶつかってしまっているような大人たちの心を動かしたり、子どもを持つ親の世代にも学びが多いストーリーになっていると思います。老若男女が楽しめる作品になっていますので、たくさんの方に見ていただきたいです」
――最後に、お部屋のこだわりをお聞かせください。
「私の部屋は、シンプルな感じですね。最近は、無垢（むく）材の大きめなリビングテーブルを購入したので、ワックスなどを塗って育てている時間が楽しいです。手入れするごとに、どんどん表情が変わってくるので、オリーブオイルを塗ってみたりもしています」
取材・文＝中村実香 撮影＝山本一維
インフォメーション
『ラストサマーウォーズ』
2022年6月24日（金）ユナイテッド・シネマ入間先行ロードショー、7月1日（金）より全国順次ロードショー
小学6年生の内気な映画好き男子・陽太は、同級生の女子・明日香にひそかに想いを寄せていた。そんな明日香が急に引っ越すことになり陽太は動揺を隠せない。「彼女をヒロインにした映画を作ろう」と思い立つも、サポートしてくれる友達はゼロ。しかし、映画好きな担任の土方や陽太の兄が相談に乗ってくれ、気が付けば個性豊かな同級生5人が仲間になっていた。スマホアプリやSNSを駆使して撮影は進むが、子どもたちだけでの撮影は危ないと親たちの妨害や事故が発生してしまい…。
井上小百合
いのうえさゆり●1994年12月14日生まれ、埼玉県出身。「乃木坂46」1期生メンバーとして活躍後、舞台を中心に活動。主な出演作に、舞台「奇蹟 miracle one-way ticket」、「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」など。7月25日（月）から東京・新国立劇場中劇場を皮切りに、8月に福岡・大阪でも上演されるミュージカル「BE MORE CHILL（ビー・モア・チル）」に出演。
TOP