松本穂香が主題歌も担当する映画でギターに挑戦「撮影直前までずっと練習していました」
音楽コミックの名手・さそうあきらの同名漫画を実写化した映画『ミュジコフィリア』が11月19日(金)より全国公開中。京都の芸術大学を舞台に、現代音楽に情熱を捧げる若者たちの姿を描く群像劇で、ピアノ科の新入生・凪役でヒロインを務めたのが松本穂香。主題歌やギター演奏にも挑戦した彼女に、作品への思いや撮影エピソードを聞いた。
(C) 2021musicophilia film partners (C) さそうあきら/双葉社
――出演オファーを受けて原作も読まれたかと思いますが、その際の印象は?
「現代音楽がテーマの作品ですが、私は音楽にあまり詳しい方ではなくて。現代音楽も初めて知ったぐらいだったので、原作を読ませていただいて面白いなと思いつつ、これを実写でどうやって表現するんだろうという思いは最初にありました」
――松本さんはギターや歌という課題もありましたので、ハードルを感じませんでしたか?
「ギターはできないですとお伝えしていたので、無理難題が来ることはないだろうなとは思っていました(笑)。ただ、歌いながら手元を見ないでギターを弾かなければならないので、やっぱり難しかったです。弾けたらかっこいいだろうなとは思っていたので、撮影直前までずっと練習していました。でも完成作を見たら、手元があまり映っていなかったので、少しだけ切なかったです(笑)」
――最初から主題歌を含めてのオファーだったんですか?
「いえ、違ったと思います。製作していく中で、劇中で凪が歌う『小石のうた』をエンドロールでも流れるようにしたいと監督がおっしゃって、気付いたらそうなっていました(笑)。フワーとした流れの中で決まったので、主題歌を担当するということに対しての意識は特になかったです」
――演じられた凪は変わり者な面もある子ですが、どう演じていこうと?
「あまり頭で考えずにすぐ行動に出るというか、感覚で生きているような子なのかなというのは意識していました。言葉で気持ちを伝えるのが多分苦手なので、音楽を使って自分の気持ちを吐き出しているのかなと感じていました」
――凪は主人公・朔(井之脇 海)の音楽の才能に惚れ込み、朔に惹かれていきます。松本さんも人の才能に惚れ込むことはありますか?
「人を好きになる上で、その人を尊敬できるってすごく大事だなと思うので、そういう部分は私もあるかなと思います」
――朔を演じた井之脇さんの印象を教えてください。
「井之脇さんはすごく落ち着いた方というか、ピュアな方だなという印象ですね。井之脇さんも、ホテルの部屋に持ち込めるピアノですごくピアノの練習をされていて。撮影はすごくタイトだったのですが、京都弁を話す役だったこともあり、ご本人は関西出身ではないので大変だろうなとは見ていて思いました。スタッフさんが京都の方が多かったので、直前にみんなで確認しながらやってらっしゃいました」
――本作はオール京都ロケということで、撮影はいかがでしたか。
「京都の賀茂川や大文字山に登っての撮影など、京都の皆さんに協力してもらわないとできない場所での撮影が多かったので、すごく支えられているなと感じました。先日、プレミア上映で京都に行かせていただいたのですが、その際も皆さんの支えを感じました」
――賀茂川の中洲で、朔と凪がピアノとギターでセッションをするシーンが印象的でした。
「あの撮影は、ピアノを中洲に運ぶのが大変そうでした。男性陣がみんなでピアノを抱えて川を渡ってくるのを見て、なんだか面白いことしているなーと思っていましたね(笑)。目立つので、地元の方もチラホラ気にしていらっしゃる方もいましたが、皆さんそっと見守ってくださっている感じでした」
――作品のテーマである現代音楽にはどんな魅力を感じましたか?
「みんなの想像力が豊かになるような、面白い音楽だなと思いました。楽器だけでなく、身近にあるモノで音を出してみるなど、無限に自由なものだなって」
――見る方には映画をどう楽しんでほしいですか?
「音にもこだわった作品ですので、そこはもちろんですし、音楽に対して葛藤を抱えている人がいる中で、凪のようにただ純粋に音楽を楽しむ人もいて。“音楽を楽しむこと”の大切さや難しさなど、いろんな人物の感情を通して、さまざまな思いを感じていただけたらなと思います」
――最後に、松本さんにとっての「理想のお部屋」を教えてください。
「犬を飼っているので、近くに大きい公園があったらいいなと思いますね。部屋の中は、茶色とかの落ち着く色合いがいいです。リラックスできる場所にしたいので、派手な色はいらないかなって。あとは、日当たりが良好なほうがいいとか…。多分、皆さんと同じような理想ですね(笑)」
取材・文=大西淳子 撮影=須田卓馬
ヘアメイク=尾曲いずみ(STORM) スタイリスト=李靖華 編集協力=千葉由知(ribelo visualworks)
インフォメーション
映画『ミュジコフィリア』
2021年11月19日(金)より全国公開中
さそうあきらの同名のコミックを実写化。京都の芸術大学美術学部に入学した朔(井之脇 海)は、天才作曲家の大学院生・大成(山崎育三郎)と異母兄弟であり、父は高名な作曲家だった。母に育てられた朔は、音楽の才能がありながらも、父と兄へのコンプレックスから音楽を憎んでいた。しかし、ひょんなことから大成が立ち上げたサークル「現代音楽研究会」の面々と交わるようになり、現代音楽の楽しさに目覚める。ピアノ科の新入生・凪(松本穂香)はそんな朔の音楽に共感し、やがて朔に思いを寄せ始める。