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賃貸と物件購入はどっちがいい?引越しの手続きは?学校では教えてくれなかった住まいのこと

目次

“大人だったら知っていて当然”といわれる知識が社会にはたくさん存在します。

この連載では、「子どもの環境・経済教育研究室代表、元公立鳥取環境大学経営学部准教授」の泉美智子さんが「学校では教えてくれなかった 社会で生きていくために知っておきたい知識」をご紹介。労働のこと、お金のこと、結婚・子育てのこと、介護のこと、住まいのことなど、身近な役立つ知識を図解とともに紹介します。

今回は、住まいについて。賃貸と物件購入や、引越しに伴う手続きを解説します。

●Question1:賃貸と物件購入、どちらがいいの?

ANSWER:価格や築年数など条件を考えて絞り込もう

住居を選ぶ場合、ずっと賃貸がいいのか将来的に購入(持ち家)がいいのか、どちらが得なのでしょうか?

まず賃貸の場合、払うのは基本的に家賃だけです。実際には敷金・礼金・更新料などが必要ですが、当然、固定資産税や住宅ローンを払う必要はありません。また賃貸は、収入や転勤、家族が増えるなど、状況の変化によって住み替えて、支出をコントロールすることができます。

一方、住居を購入して住宅ローンを組んだ場合、購入時には頭金が必要です。頭金なしでも組むことができますが、頭金があればローンの借入額が減るので、月々の返済額が少なくなります。また住宅ローンの金利が上がれば、支出は増えますが、住宅価格が購入したときより上がれば資産価値も上がります。駅から遠いなど、場所によっては購入後に大きく値を下げるリスクもあるので、地域の選定を慎重に行うことが大切です。また住宅の購入時には、物件価格だけでなく、不動産取得税、団体信用生命保険料などの税金・諸費用がかかります。

同じような住宅で賃貸と購入を比べると、総支出額にはそれほど差がないため、何が大切かを考えて決めましょう。

持ち家と賃貸のメリット・デメリット

持ち家

【メリット】
・内装や設備などが賃貸より質が高い
・賃貸に比べて部屋数が多い
・間取りの変更や設備交換などが自由にできる
・退職までにローンを完済すれば老後の住居費の負担が軽い

【デメリット
・賃貸に比べて簡単に引っ越せない
・住居費を下げられない
・修繕・改修費用がかかる
・固定資産税・都市計画税がかかる
・マンションの場合、修繕積立金、管理費、駐車場代がかかる

賃 貸

【メリット】
・いつでも自由に引っ越せる
・自費で設備の交換や修理をしなくてすむ
・収入や家族の人数の変化に合わせて住居費をコントロールしやすい

【デメリット】
・内装や間取り、設備などを自由に決められない
・一生、家賃の支払いをしなくてはならない
・高齢になったとき契約更新を断られることがある

30歳から85歳までの賃貸と持ち家の生涯支払い金額の比較

持ち家にかかるお金

・住宅ローンの返済
・修理・改修費用
・固定資産税などの税金 など

→生涯支払い額 約7,500万円

物件価格 3,000万円
頭金 0円
住宅ローン返済期間 35年
住宅ローン金利 3%
修繕積立金・修繕費(年間)36万円
固定資産税(年間)10万円
※元利均等返済の場合

賃貸にかかるお金

・家賃
・更新料 など

→生涯支払い額 約8,400万円

支払期間 30~85歳(56年間)
家賃 12万円(毎月)
更新料 1カ月分(2年ごと)
※途中の引っ越しや仲介手数料は含まない

POINT

・物件価格や家賃帯にもよるが、持ち家は賃貸より約900万円安い
・持ち家のローンは65歳程度で完済するが、残り20年間で修繕費、維持費、固定資産税などの出費が発生
 →支出額にそこまで大きな差は出ないため、メリット・デメリットを踏まえた自分の希望が大事

●Question2:引っ越しに伴う手続きがよくわからない

ANSWER:早めにやるものもあるので、リストにして確認を

引っ越し前後にやらなくてはいけない手続きには、住民票の移動、郵便局に転居届を出す、ガス会社、電力会社、水道局に連絡する、銀行などの住所変更、運転免許証の住所変更、引っ越し先の市区町村に転入届を出す、ネットのプロバイダに連絡するなどがあります。やることが多いので、「何をいつまでにやるか」を一覧表にしておくといいでしょう。

引っ越しの手続き

①住民票の異動(14日前から可能)

旧住所の役所に行って転出届を出し、転出証明書をもらう。

②郵便局に転居届を出す

転居届を投函するかネットで申し込むと1年間、旧住所あての郵便物を新住所に転送してもらえる。

③ガス会社に連絡

ガスの開栓には立会人が必要なので、引っ越し当日に開栓を指定すると手間がかからない。

④電力会社、水道局に連絡

引っ越し日より前に掃除したりするために、少し早めに利用開始日を伝えておこう。

⑤銀行などの住所変更

電話やネットで、銀行やクレジットカード会社に住所変更を連絡する。

⑥運転免許証の住所変更

引っ越し後なるべく早く最寄りの警察署や運転免許センターで住所変更の手続きをする。

⑦転入届を出す

引っ越してから14日以内に、引っ越し先の市区町村の役所に転入届を出す。

⑧プロバイダに連絡

ネットの接続には時間がかかることがあるので、早めに連絡をするのがよい。

⑨その他の変更

職場に住所変更届を出す。ネットの通販サイトなどの届け先も変更。

賃貸住宅に住むのであれば、引越しにまつわる手続きとも長い付き合いになります。後で苦労をしないよう、しっかりと申請などの手続きをしていきましょう。

泉美智子

子どもの環境・経済教育研究室代表。公立鳥取環境大学経営学部准教授(2018年3月まで)
全国各地で「女性のためのコーヒータイムの経済学」や「エシカル・キッズ・ラボ」「親子経済教室」など講演活動の傍らテレビ、ラジオ出演も。環境、経済絵本、児童書の執筆多数。『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞社)、『学校では教えてくれなかった 社会で生きていくために知っておきたい知識』(KADOKAWA)などを監修。

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