美人のマネで痩せる!? 1年で30kg痩せた漫画家のわたなべぽんさんに教わる「脱・おデブ」の極意
物心ついた時から太っていたという漫画家のわたなべぽんさん。数年前に一念発起しダイエットしたところ、1年で30kg痩せたのだとか。その痩せた秘訣は、「スリム美人をマネした」こと。スリム美人って何? マネするだけで痩せるってどういうこと? 「脱・おデブ」を成し遂げたぽんさんに、痩せる極意を伺いました!
ダイエットの決め手は、「〇〇〇を破壊した」こと!?
「幼稚園時代、ほかのクラスメイトと比べて3倍は大きかった」と語る漫画家のわたなべぽんさん。おしゃれに興味を持ち始めた高校生になって初めてダイエットに挑みます。
「お米を一切食べないというハードなものでしたが、割と短期間にスルッと瘦せられたんです。今思えばその成功体験がネックになってしまって…。というのも、以降は自分が徐々に太ってきているのを自覚していても、『またあのダイエットをやれば瘦せられる』という考えが心の隅にあって、自分の体に向き合うことを先延ばしにする癖ができてしまったんです」(わたなべぽんさん)
高校生時代のダイエット成功体験があだとなり、大人になってからはダイエットとリバウンドを繰り返してきたのだとか。そんな日々を繰り返す中、ついにダイエットと真剣に向き合わざるを得ない日が訪れます。
「あの日のことを思い出すと、今でも笑ってしまいます。太り過ぎたあまり、トイレの便座が割れてしまったんですよ(笑)。その瞬間、サーッと頭から血の気が引いて、『不動産の管理会社になんて言えばいいんだ』『便座の取り換えはどれくらいの費用がかかるんだ』『夫に話すのが恥ずかしい』という思いが、頭の中でグルグルと巡って……。今思えば、きっとものすごい顔をしてたんだろうなぁと思いますけど」(わたなべぽんさん)
「私ってこんなにおデブだったんだ…」と改めて自覚してしまったそう
おデブさんとスリム美人の違いはコレだった!
トイレの便座を破壊したことをきっかけに、ダイエットを本気で決意したぽんさん。これまでの自分を徹底的に振り返った末に行き着いたのが、「スリム美人のマネをする」こと。スリム美人になったつもりで毎日行動すると、自然と痩せていくという画期的なダイエット方法でした。
「スリム美人を観察して一番驚いたのは、食事を残すことをいとわないことでした。私は子供の頃から食事は残してはいけないものと言われて育ってきたので、少々無理しても完食するのが自分の常識だったんです。一方、スリム美人たちは食べる時はおデブさん以上にしっかり食べるけど、その時の自分の体にトゥーマッチだと思えば、ちゃんと残す。さらに、前日食べ過ぎたと感じたら翌日の食事で調整するなど、自分の体と会話しながら食事しているんですよね。おデブの私なんて前日にたくさん食べたとしても、翌日決まった時間に普段と変わらない量を胃袋に流し込んでいるのに(笑)」(わたなべぽんさん)
大好物は無理してでも食べていたぽんさんには衝撃!
ぽんさんが感銘を受けたスリム美人たちの「自分の体を大切にする」というマインド。実際におデブとスリム美人を観察し比較してみると、「おデブさんは120%満腹に対して、スリム美人は腹八分目」「おデブさんは言い訳が多いけど、スリム美人はポジティブ」など、そのライフスタイルにはこんなにたくさんの違いがあったのだとか。
「違い」の一例。左がスリム美人、右がおデブさん。このような「違い」をたくさん見つけてメモしたとか
ダイエットのわなはこうやって乗り切った!
こうしてスリム美人の生活習慣をマネし始めたぽんさんは、「ダイエットをしています」と公言し、気持ちを上手に切り替えていったそう。モチベーションを保つために、さまざまな工夫を凝らしたとか。
「部屋に憧れのモデルさんやタレントさんの写真などを貼ったり、スマホの待ち受けを『ウォーキングする美女』『スーツを着こなすイケメン』などにしてみるのもおすすめです。1年後、どんな自分になりたいのかノートに理想を書き出してみるのもいいですよ。私はダイエット中も、そのノートを繰り返し見ることでモチベーションを保ちました」(わたなべぽんさん)
ぽんさんの「理想のスリム美人」はこちら
ところが停滞期が訪れると一気にヤケに。思うように体重が落ちないと投げやりな気持ちになりますが、体重だけを指針にしないことが大切だとぽんさん。
「例えば、体重が減っていなくても、見た目に変化が起きていることもあります。だから、ダイエット中は体重だけじゃなく、体脂肪率やスリーサイズなどを測っておくのもいいと思います。そして私は『今、体が必死にこの体重を覚えようしている時間でもある』と思って焦らずに待ちました。停滞期にその体重が安定したら、次のアクションでまた変化が生まれやすいはず。だから、その時期は体重にばかり目を向けず、『髪のケアをやってみよう』『新しいエクササイズを試してみよう』とスリム美人がやっていそうなことを夢想して、自分磨きを楽しみました」(わたなべぽんさん)
さらにダイエットの天敵ともいえるのがお酒。飲み会などではどうしてもリミッターが外れてしまいますが、ぽんさんはここでもスリム美人をお手本にします。やけ酒にならないような楽しい話題を取り入れたり、とっておきの服を着て行って暴飲暴食を避けるような行動を取ったりしたそう。そして今ではお酒と上手に向き合う秘策にたどり着いたと言います。
「最近、普段からお酒を飲む習慣をやめました。以前は自宅で一人でも毎日お酒を飲んでいたのですが、最近は専ら熱いお茶にしています。熱いお茶はなぜかすごく満足感があって、アルコールが欲しい気持ちが薄れるような気がします。それからお酒を飲む場合は、温かいものを選ぶようになりましたね。焼酎のお湯割りだったり、熱かんだったり。冷たいものをごくごく飲むよりも温かいものをゆっくり飲む方が酒量を抑えられるし、ポカポカと温まって体にも優しいですしね」(わたなべぽんさん)
おつまみは少量ずつプレートに盛って味わうのもおすすめだそう
ダイエットに成功したら〇〇〇が待っている!?
これまでぽんさんのダイエットあるあるだった「あと5kg痩せたら焼肉!」という自分へのご褒美設定も、スリム美人のマネをするダイエットでは封印。ご褒美の対象を食べ物以外に設定することで、スリム美人に近づいていきます。
「食べ物をご褒美に設定してしまうと、そこからなしくずしにダイエットをやめてしまうという失敗を繰り返してきたので、あくまでもスリムな美人さんだったらということを念頭に置いてご褒美を選んでいました。ポイントは、より美人になれそうなものを選ぶこと。ちょっといいホットビューラーをご褒美に設定していた時は、『あと〇㎏瘦せたら、私は上向きまつ毛の目元パッチリ美人だ!』というのがモチベーションでした(笑)。声に出すとバカバカしいかもしれませんが、心に思うだけなら許されますから」(わたなべぽんさん)
スリム美人をマネし、見事30kgものダイエットに成功したぽんさん。ダイエットで得たもの・失ったものを聞けば、こんな答えが返ってきます。
「失ったものは『脂肪』以外に思い当たりません。一方で得たものは多いですね。太っている自分が恥ずかしくてずっと引っ込み思案でしたが、その点は少し解消されましたね。行動力が上がったり、行動範囲が広がったり。着られるサイズの洋服が増えておしゃれを楽しむことも増えました。
一番よかったことは、自分の体と向き合った経験ではないかと思っています。私は自己肯定感が低くて、子どもの頃から心のどこかにいつでも『私は私が大嫌い』という気持ちがありました。だから無自覚に『どうせ私なんて』と思いがちで、自分の体と心を大切にすることや、守ることをおろそかにしていた気がします。私が憧れてやまないスリム美人さんは、ただ瘦せているとか、美人だとか、見た目のことではありません。人生をよりよく生きるために、メンテナンスや自分磨きをして自分を大切にする人のこと。それに気が付いた時、私も自分の体と心をもっと大切にしていこうと思えました」(わたなべぽんさん)
自己肯定感が上がったこともダイエットの収穫の一つ!
「ダイエットは、自分の体と心と向き合う時間」だというぽんさん。最後に、ダイエットしたいけれど一歩踏み出せない方へ、背中を押してくれるようなメッセージも届けてくれました。
「ボディポジティブという言葉を耳にするようになった昨今、人それぞれの『今の私が一番好き』があってもいい、誰かが決めたスタイルに自分を押し込んで悲しむ必要なんてないと思うようになりました。だから実は私たちは今のままで全然悪くないし、誰かに何か言われて悲しむ必要はないんですよね。でも今よりもうちょっとスリムになったほうが毎日がより良いものになると思えるのなら、楽しんで自分磨きをしたいですよね。身体と心が喜ぶ、スリム美人なダイエットを一緒に楽しみましょう」(わたなべぽんさん)
取材・文=船橋麻貴
教えてくれたのは
わたなべぽん
漫画家。山形県出身。第6回コミックエッセイプチ大賞・C賞を受賞しデビュー。初の著書は女性でありながらAV商品を取り扱う古本屋の店長を勤め、その経験をコミカルに描いた『桃色書店へようこそ』。累計30万部超のヒットとなった『スリム美人の生活習慣を真似したら、1年間で30キロ痩せました』シリーズほか、お片づけコミックエッセイ『ダメな自分を認めたら 部屋がキレイになりました』(KADOKAWA)などの著書、『やめてみた。』(幻冬舎)がある。現在はこよなく愛する西荻窪に暮らす。
この記事で紹介した書籍ほか
「スリム美人の生活習慣を真似したら、1年間で30キロ痩せました」
【最新刊】人見知りの自分を許せたら生きるのがラクになりました