選挙っていつどこへ行く?投票先は何を選べばいい?学校では教えてくれなかった選挙のこと
“大人だったら知っていて当然”といわれる知識が社会にはたくさん存在します。
この連載では、「子どもの環境・経済教育研究室代表、元公立鳥取環境大学経営学部准教授」の泉美智子さんが「学校では教えてくれなかった 社会で生きていくために知っておきたい知識」をご紹介。労働のこと、お金のこと、結婚・子育てのこと、介護のこと、住まいのことなど、身近な役立つ知識を図解とともに紹介します。
今回は、選挙について。どうやって投票するのか、どうやって投票者を選んでいくのかを紹介します。
ANSWER:投票所入場券を持って指定された投票所へ行き、投票する
日本では、18歳になると政治の代表を選ぶことのできる選挙権が与えられます。投票は義務ではありませんが、自分の意思を示す大切な機会なので、できる限り投票に行くのが望ましいとされます。
国会議員を選ぶ選挙を「国政選挙」といいます。国政選挙には、衆議院議員選挙(総選挙)と参議院議員選挙があります。
総選挙は、衆議院議員の任期満了(4年)によるものと、衆議院の解散によって行われるものの2つに分けられます。参議院議員の任期は6年ですが、参議院は解散がないので、参議院議員選挙は3年ごとに半数ずつ行われます。
住んでいる市区町村の代表者を選ぶ選挙が「地方選挙」です。
地方選挙には都道府県や市区町村の議会の議員を選ぶ選挙や都道府県知事や市区町村長などの地方公共団体の長を選ぶ選挙があります。
投票は、投票日(選挙期日)に選挙前に郵送されてくる「投票所入場券」を投票所に持っていって行います。投票所はいくつかありますが、どこでも投票できるわけではなく、投票所入場券に指定されている場所で行わなければなりません。
国政選挙
衆議院議員選挙
選挙の対象:衆議院議員の全員
期間:4年ごと
参議院議員選挙
選挙の対象:参議院議員の半数
期間:衆議院の解散時3年ごと
地方選挙
一般選挙
都道府県、市区町村の議会議員
期間:4年ごと/議会の解散時
地方公共団体の長の選挙
都道府県知事や市区町村長
期間:4年ごと/リコールによる解職時など
設置選挙
選挙の対象:新しく設置された地方公共団体の議員と長
期間:新しく設置されたとき
POINT:統一地方選挙とは
地方公共団体の長と議会の議員の選挙を、全国的に期日を統一して行う選挙のこと。有権者の選挙への意識を全国的に高め、また、選挙の円滑かつ効率的な執行を図る目的で、1947年から4年ごとに行われている。
投票までの流れ
①投票所に行く
近所の学校や公民館であることが多い
②受付&投票用紙交付
受付係に入場券を渡して名簿と照合する。そのあと、投票用紙を受け取る。
③投票記載所
隣からは見えない仕切られた机で、投票したい候補者の名前を書く
※名前を間違えたり、通称などで書いたりすると無効になる
④投票箱
投票用紙を投票箱に入れて、終了投票
・投票立会人
投票の手続きに立ち会い、選挙が公正に行われるよう監視する
・投票管理者
投票所にいる事務管理者を監督するなど、投票に関する事務の最高責任者
POINT:投票所入場券をなくしてしまったら?
本人確認ができれば、投票することができる。運転免許証などを持って投票所に行こう。
ANSWER:候補者や政党の情報をチェック。世代の存在感を示そう
2015年に公職選挙法が改正され、投票できる年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられました。
ここのところ若年層の投票率が低いことが顕著で、特に20代の投票率は毎回、ほかの全世代を下回っています。「自分ひとりが投票に行かなくても問題ないだろう」と考える人もいるでしょう。
しかし、若者が投票に行かないと、政治家は投票に行かない若い世代よりも、自分たちの選挙結果を左右する=投票に行く高齢者を優先した政治をするかもしれません。つまり、非正規雇用が多い、子育てがしにくいなど若い世代の問題が後回しにされてしまうかもしれないのです。そうはいっても、誰に投票したらいいのかわからないという人も多いでしょう。
選挙公報やテレビ・ラジオの政見放送はもちろん、今ではインターネットで選挙運動ができるようになっていますのでホームページやSNSで候補者の政策や考え方をチェックしてみましょう。
そしてあなたが負担している税金の使い道を任せるなら、どの政党がいいか、どの候補者なら任せられるかを考えて投票しましょう。
2016年衆院選の年代別投票率
「2021年10月31日執行 衆議院議員選挙(小選挙区)年代別投票者数・投票率表 町田市役所」より
投票する人を選ぶには
①自分の選挙区を調べる
まずは、自分の選挙区はどこで、どんな人が立候補しているのか、ネットや新聞で確認をする。
②候補者の情報を調べる
候補者の政策や経歴などを知るには、新聞、テレビ・ラジオの政見放送、候補者のHP・SNS などが一般的。それぞれの候補者が所属する政党の主張を見ることも大切。
③自分が気にしているポイントが一致するか確認
子育て、選択的夫婦別姓、非正規雇用問題、景気、憲法改正、社会保障、原発、消費税…。「自分のためにこういうことをやってほしい」と思っている政策を打ち出している候補者かどうかが大切なポイント。
POINT:簡単に自分に近い意見の政党を選べる!?
各新聞社の「ボートマッチ」というWebサイトでは、表示される質問に「そう思う/そう思わない/どちらとも言えない」などを選択していくと、自分の意見に近い政党がわかる。自分がどこの政党、候補者に投票すればいいのかわからない場合は、こういったサイトを使って決めるのもおすすめ。
選挙は他人事ではなく、実際に自分が生きている国の、自分自身が関わる社会の代表を決めるもの。自分や大切な人との生活のために、しっかりと情報を得て、参加していきましょう。
教えてくれたのは
泉美智子
子どもの環境・経済教育研究室代表。公立鳥取環境大学経営学部准教授(2018年3月まで)
全国各地で「女性のためのコーヒータイムの経済学」や「エシカル・キッズ・ラボ」「親子経済教室」など講演活動の傍らテレビ、ラジオ出演も。環境、経済絵本、児童書の執筆多数。『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞社)、『学校では教えてくれなかった 社会で生きていくために知っておきたい知識』(KADOKAWA)などを監修。
この記事で紹介した書籍ほか
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