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朝は花粉症の症状がひどくなる?つら~い「モーニングアタック」を撃退!

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毎年、春から飛散を始めるスギやヒノキなどの花粉。それらに対する、くしゃみ・鼻水などのアレルギー反応を総称する「花粉症」に悩まされている人も少なくないはず。晴れた日に外出すると、目の腫れやかゆみを感じたり、止まらないくしゃみや水のような鼻水に襲われると「ああ、今年も始まったな…」と、ゆううつな気分になることも多いでしょう。

それだけでなく、朝、寝起きの状態で、くしゃみなどの症状が激しくなる「モーニングアタック」は、今日一日をはじめるための元気を奪ってしまうことも。そんな「モーニングアタック」対策として効果が期待できる行動を、日本医科大学付属病院 耳鼻咽喉科 部長で日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の理事でもある、日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部感覚器科学分野 教授の大久保公裕先生に教えてもらいました。

まずは「花粉症」の症状をおさらい

冬の寒さが和らいできた季節。外出すると、なぜだか目が腫れているような感覚がしたり、くしゃみが止まらなくなったり、透明でさらさらの鼻水が、とめどなく流れてきたり…。このような症状が発生することを「花粉症」と呼びます。

スギなどの樹木や草花の花粉が、鼻や目の粘膜に付着することで起こるアレルギー反応の総称で、花粉が飛ぶ時期や地域によって、アレルギー反応が起こる花粉はさまざま。子どもから大人まで、多くの人がこの症状に悩まされながら、アレルギー反応を抑える薬の服用や、花粉を粘膜に接触させないためのメガネやマスクなどで対処しているのが現状です。

「モーニングアタック」とは?

ここ数年でよく耳にするようになった「モーニングアタック」という言葉。まずはその定義から確認しましょう。

「朝、起きて、今まで寝ていた交感神経系が目覚めることによって、急激に粘膜の過敏性が増加した段階で起こる鼻の反射のことです。スギ花粉にアレルギー反応を起こして鼻粘膜が過敏になっている方々がベッドや布団から起き上がってすぐに強烈なくしゃみや鼻水といった症状が出ることを示します」(大久保先生)

大久保先生のお話からわかるのは、モーニングアタックは目が覚めて、体が動き出した際に鼻粘膜に起こる発作的な現象ということ。それまで寝ていた交感神経系が目覚めることにより、昼間よりも強烈な反応が出るそうです。

モーニングアタックには「湿度」と「持ち込まない」が基本

朝、意識と共に交感神経系が目覚めることで発生するモーニングアタック。寝ている間にできる対策はあるのでしょうか。

「加湿器などで、目覚めた時に寝室が40%ほどの湿度になるようにしておくことで、鼻粘膜の状態が良くなり、モーニングアタックが起こりにくくなりますね」(大久保先生)

そして、なによりも家の中に花粉を持ち込まないようにすることも重要なポイント。

「最近の建物ですと、高気密の家がほとんどだと思います。高気密の住環境では、自然換気で花粉が外から室内に入り込むことはほぼありませんので、人間が室内に花粉を持ち込まないことが重要になります。外出先から帰宅した際は、玄関先でアウターに付いている花粉をしっかり払い落とし、シャワーを浴びて髪や顔などに付着した花粉を洗い流すといいでしょう」(大久保先生)

就寝前にできるモーニングアタック対策

一日のモチベーションにも大きな役割を果たす、朝の目覚め。モーニングアタックを少しでも和らげるための方法も教えていただいた。

「粘膜を敏感にさせない、鼻の中に花粉を残さないという観点から、夜お風呂に入った時に鼻うがいをすると効果的でしょう。そして、対処法でもお伝えしましたが、加湿器などで寝室を40%ほどの湿度になるよう保つことが大切です。そして、朝、目覚めた時は、すぐ動き始めずに、そのままベッドでウトウトするなど、少しずつ神経系が正常になっていくのを待つことも大切です」(大久保先生)

「花粉症かも?」と思ったら早めに受診を!

スギの花粉が飛散する期間は、花粉と出会わないようにすること、マスクやメガネをしっかり着ける、そして花粉を家の中に持って入らないようにする配慮を含めて、やはり症状が出たら早めに治療することがおすすめとのこと。

「症状の詳しいことは自己判断では難しいので、花粉症を見ているような病院で診察してもらうことも大切です。2023年は、東北南部から関東、東海では例年の2倍以上の花粉が予測されていますが、そういった状況は今後も起こりえます。そのためにも、自分の身体の状況を知ることは一番大事だと思います」(大久保先生)

このようなアドバイスをくれた大久保先生。春に向けて気分が明るくなる季節を、より快適に過ごすためにも、モーニングアタック対策をしっかり行っていきたいですね。

取材・文=中村実香

医師・大学院教授

大久保 公裕

日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部感覚器科学分野 教授
日本医科大学付属病院 耳鼻咽喉科 部長
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 理事
日本アレルギー協会 理事
奥田記念花粉症学等学術顕彰財団 理事長
NPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会 理事長
日本耳鼻咽喉科学会代議員

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