
無駄のない荷造り手順と、1週間でダンボールが空になる荷ほどきのコツ
引越しのハイライトシーンである荷物の梱包と荷ほどき。苦手な方が多く、よく相談を受けます。
梱包では、「手当たり次第に詰め込んだから何がどこにあるか分からない」「とりあえず梱包したら、まだ使うものばかりで二度手間になった」「荷造りしたダンボールが邪魔」などの悩みがありました。
荷ほどきでは、「明日から使うものがどこにあるか分からない」、「どこにどうやって収めたらいいのか分からなくて作業が進まない」、「いろんな部屋のものがごっちゃに入っていて、どうしたらいいか分からない」「とりあえず必要なモノだけ出したら、面倒になって残りのダンボールを開けないまま数ヶ月過ぎてる」など、多くの困りごとが寄せられます。
これらも、事前の準備と手順が分かっていたら解消できます。ここでは、梱包と荷ほどきのポイントについて、詳しく解説していきます。

新居の部屋割り収納計画に沿ってひたすら詰めましょう。
普段使いのものが少ない部屋の、収納するものからスタートしましょう。毎日使うものが集まるリビングやキッチンから着手すると二度手間になります。搬出までダンボールに囲まれると生活しづらくなりますので、押入れの中身を詰めたダンボールを再び押入れに収めていくと居住スペースが確保できます。
搬出まで余裕があるうちに、本、写真、思い出のもの、インテリア趣味のものを詰めておきましょう。棚の隅にある雑貨、壁に掛けたアイテムなどは忘れやすいので早い段階で詰めておきましょう。デリケートなアイテムほど余裕のある早いうちに丁寧に梱包してあげましょう。
搬出日までに使う可能性がない服、靴、バッグ、アクセサリーなどを詰めておきます。ただ、衣装ケースの中身は詰め替えなくても運んでもらえますし、ハンガーボックスやシューズボックスを頼んでおけば梱包不要です。引越し業者によってはタンスも中身ごと運んでくれる場合があるので、引越し見積もり時に確認しておきましょう。
収納ケースは新居の収納先のサイズに応じて、あらかじめ詰め替えておくと新居ですぐに使えます。よくあく例として新居のクローゼットに押入れサイズの奥行の長い衣装ケースが入らずクローゼットの扉が閉まらなくなることなどが挙げられます。
搬出日まで使う予定のない日用品、掃除道具、食品などのストック類を詰めておきます。食品のストックは夏場のトラック内では高温で傷む恐れもありますので、缶詰や乾物など温度変化に影響受けにくい食材だけにしましょう。
取扱説明書、郵便物、保険関係、はがき、ペン類、テープ、電池、工具ボックスなど、保管しているものを詰め込みます。細々したものはチャック付きの袋にまとめていくと、中身が固定されダンボール内で散乱せず荷解きもスムーズです。
ただし、光熱費関連、新居の引越し手続き関連の書類は連絡やサインが必要な場合があるので手荷物で運びましょう。
梱包と荷解きに必要な文具(ハサミ、カッター、ペン、養生テープ、ガムテープ類)家具の分解組み立てがあるときはドライバー類も手荷物に残しておくと良いでしょう。
搬出まで出番のない使用頻度の低いモノから詰めましょう。割れや欠けが心配なものは早い段階で丁寧な梱包を。丈夫なモノはざっくりまとめる梱包にするなど、手間を分散しておくと疲れにくいです。細々したモノが多いのでチャック付きの袋にまとめると埋もれにくく手早く詰められます。
搬出前夜からの食事は、料理や洗い物を出さず梱包を優先しましょう。
搬出前日、最後の入浴が終わったら一気に詰めましょう。液漏れしやすいモノが集まるので、ひとつずつビニール袋に入れておくと安心です。
起床したら寝具を布団袋に詰めましょう。衣類や洗濯モノもまとめておきます。一泊旅行から帰宅する時の荷造りをイメージして。
当日の手荷物、自分たちの靴、上着、鍵など貴重品は引越しトラックに間違えて詰め込まれないように分けておきましょう。
また、手荷物には、トイレットペーパー、スリッパ、ごみ袋、薬、新しいお部屋の契約書類など、すぐに使うものや緊急時に役立つものを入れておきましょう。
「どの部屋? 」「誰の何が入っている?」「どこに収納する?」などの迷いをすべて消し去ります。すべてダンボールに記載しましょう。
例1:キッチン「すぐ開ける」/食器棚引き出し1段目/豆皿、箸スプーン、取皿、お弁当ナフキン、お弁当グッズ
例2:洋室2/デスク中身/PCデバイス、配線、プリンター関連、手帳、文具
ひとつのダンボールに他のアイテムが混ざる時も同じく置き場と中身を記載すると新居での探し物がなくなります。
例3:洗面所/鏡裏収納/洗面台下/(鏡)歯ブラシ、コンタクト、メイクセット、薬(洗面台)掃除シート、洗剤ストック、ゴミ袋ストック、花瓶
※トイレシートとブラシはトイレへ
箱詰めするときも別の場所のものは袋に入れて分けたり、ダンボールで仕切るだけでも混同が防げます。
他にも、カーテンは最初に取り付けるために、スーツケースや大きなバッグにまとめておくと便利です。
詳しく記載があるほどに、ダンボールを開ける時の心理的負担も軽くなります。手伝う家族も、何度も置き場を尋ねることなくサクサク荷解きが進みます。また、持ち込む家具やラックや衣装ケースも、新居での置き場をラベリングしておくと搬入時に所定の位置に収まるので、やり直しの二度手間が防げます。

①夜ご飯、入浴、就寝ができるように
□キッチン
食事ができる、調理ができるように、食器、調理器具、調味料など
□洗面・トイレ
入浴できる、身支度できるように、タオル、トイレットペーパー、歯磨き、シャンプー、洗面ボウルなど
□寝室
就寝できる、身支度できるように。ベッドの組み立て、布団を敷くスペース、寝具を出す
②明日はスムーズに出勤できるように
□衣類クローゼット
入浴、着替え、身支度できるように。服、肌着など
□バッグ、アクセサリー、小物
靴、玄関まわり
□貴重品、重要書類
収納を仕上げるよりも、所在が分かるように箱から出しておく
③とにかくダンボールから出しましょう
□アルバム、写真、思い出系、趣味系
とりあえず詰め込んだ荷物なども、ダンボールから出して梱包材を解いてしまえば半分くらいのボリュームにおさまるもの
「出してもおく場所がない」ときも、ダンボールから出して部屋の隅に並べておけば、隙間時間で少しずつ捌くことができます。放置したままの引越し荷物は物置部屋ができる原因になりますので、荷物が景色に変わる前に置き場を決めてあげましょう。引越し業者に依頼する場合は、使用済みダンボールを回収するサービスもあります。回収日を決めると片づけの期限が決まるので、うまく活用しましょう。
監修・文=門野内絵理子
教えてくれたのは
門野内絵理子(もんのうちえりこ)

糸崎合同会社代表。引越し11回、失敗経験を活かし『入居2日で新居が片付く引越し準備講座』を考案。片付けの資格を取得しフリーランスに。片付けサポートを続けるなかで「モノだけ整理しても満足しない方がいる」「思い込みが邪魔していると片付けが進まなくなる」と実感。モノの整理を介して思考と気持ちを整える対話型のサポートを提供している。著書に『引越しで「私」と「暮らし」を整えよう~新居はお気に入りだけで暮らしたい~』(ギャラクシーブックス)。