大掃除前のいまこそが活用どき!初めてのハウスクリーニングでも絶対に失敗しない5つの秘訣をプロが直伝
素人では目の行き届かない汚れを、プロの手でしっかりキレイにしてもらえるハウスクリーニング。じつは、大掃除前のいまこそがハウスクリーニングの活用どきだと、日本ハウスクリーニング協会理事の髙橋敬子さんは言います。
「11月、12月は、ハウスクリーニング業者の繁忙期。年末に近づくと優良な業者ほど予約が取りづらくなっていきます。それに1日に何軒も訪問せざるを得ない年末は、丁寧な仕事を心がけていても、どうしても余裕がなくなっていくものです」
そうなる前のいまのうちにハウスクリーニングを依頼すれは、より丁寧な対応が期待できます。しかも、秋のうちにプロの手を入れておくことで、年末の大掃除がグッと楽になるというメリットもあります。ではさっそく依頼を!…とその前に、初めてのハウスクリーニングでも業者選びで失敗しないための秘訣を知っておきましょう。
最初に確認しておきたいのは、ハウスクリーニング業者に家のどこまで掃除してもらえるかということです。
「一般的には、キッチン、トイレ、浴室、洗面所の水回りに加えて、窓・サッシ、エアコン、床のワックス掛けといった一通りの家の中の掃除は、ほとんどの業者に依頼できると思います。エアコンや換気扇内部など、ふだんの掃除では行き届かない汚れまで落としてくれるのがハウスクリーニングのいいところ。プロの手で定期的に汚れをリセットすることで、設備を長持ちさせられる利点もあるんですよ」(髙橋さん)
なかでも依頼が多いのは、浴室。
「日常のお風呂掃除は1回30分程度で、浴槽と床、排水口を洗って終わり、というご家庭がほとんどだと思います。パッと見はキレイな浴室でも、業者に頼むと、最低でも掃除に2時間はかかります。それだけ見えないところに汚れがあるということです」(髙橋さん)
例えば、収納台下の奥の方でカビやぬめりが大発生しているなんてことも…。床の溝のカビや、扉に付着した水垢、湯垢、石鹸カスなども、プロに任せればキレイに取り除いてもらえます。
また、キッチンの換気扇も、中のファンまできっちり油汚れを落としてもらえるので、ニオイがこもったり換気のパワーが落ちてきたら、ハウスクリーニングに依頼するのがおすすめです。
「キッチンの換気扇は、通常の水回り掃除には含まれず、オプション価格になっていることがほとんどです。依頼する際は、掃除内容や料金などをしっかり確認しておきましょう」(髙橋さん)
エアコンクリーニングもぜひ、プロに頼みたいところ。
「カビの影響を抑えるにはフィルター掃除だけでは不十分。プロなら高圧洗浄で奥のカビまでキレイに取り除きます」(髙橋さん)
掃除する場所や建材によっては、業者が掃除を引き受けられない場合もあるそう。しっかり確認してから依頼すれば、『どうしてやってくれないの?』といった失敗を防げます。
「高いところの天窓や、大理石や無垢などの特殊な床の掃除は、引き受けられないという業者が多いと思います。一方で、『床材ならなんでも!』という業者や、『ダクトの中まで掃除します!』という業者もいます。できる・できないは業者によって違うので、依頼する前にきちんと作業内容を確認しましょう」(髙橋さん)
業者によっては、簡単なリフォームやゴミの片づけなど、便利屋さんのようになんでも引き受けるところもあるそう。まずはいちばん解決したい困りごとを相談して、自分のニーズに合った業者を選びましょう。
日常的に利用することのないハウスクリーニング。相場がわからず、「不当な料金を請求されたらどうしよう?」と二の足を踏んでいる人も多いのでは? 相場を知っておけば、そんな不安も解消します。
人気のエアコンクリーニングは、壁掛けのノーマルタイプで1万円~1万5,000円くらい。お掃除機能が付いているエアコンは、工程が複雑になるため1万5,000~2万5,000円くらいとやや高くなります。
「なかには1万円以下とお安い業者もあります。どんな掃除をしてもらえるのか確認してから依頼するといいでしょう」(髙橋さん)
キッチン・浴室・洗面台・トイレの水回りのセットなら、4~6万円ほどが相場。セットの内容は業者によるので、こちらも確認してから依頼するのがおすすめ。
「少し高く感じられるかもしれませんが、水回りのセットをプロが一人で行った場合、丸1日はかかります。マッチングサイトなどで相場より安い値段で引き受ける業者もありますが、1日に多数の案件をこなすことで利益を上げている場合がほとんどです。どのくらいの時間をかけて、どれだけ掃除をしてくれるのか。お金をかけてプロに任せる意味はあるのかを吟味してからお願いすると、失敗が少なくなると思います」(髙橋さん)
セットで依頼するメリットは、全体的に割引価格が適用になることです。でも、そこまでの出費は負担が大きい…という場合は、ほとんどの業者でスポットでの依頼が可能なのでご安心を。
「一般的な浴室なら、1万5,000円~2万円が相場。キッチンの換気扇は、1台で1万5,000円~2万5,000円と幅があります。キッチン掃除とセットにすれば安くなることもあるので、業者に確認してみてください」(髙橋さん)
一番の悩みどころは、どんな業者に頼めば失敗しないかということ。何か目安はあるでしょうか?
「まず、大手業者やフランチャイズは、ブランド名を持っているため、信頼を損ねないように仕事をしてくれるという安心感はあると思います。しかし実際は、下請けとして個人事業主が作業を行っていることがあります。一方で、ブランド力はなくても下請けにならず、自社の顧客を大事に、親切丁寧に行っている個人事業主もたくさんいます。いずれにしても、保険やトラブル時の対応がきちんとしているかどうか、事業者としてしっかり当たり前の対応をしてくれるかを見極めることが大切です」(髙橋さん)
例えば、請求書や領収書をきちんと提示してくれることや、賠償責任保険に加入していること。また、事前にしっかり作業内容や掃除の範囲を伝えて、追加やオプションになる場合の事例をきちんと教えてもらえるということも、良い業者かどうかの判断基準になります。
日本ハウスクリーニング協会では、一定の基準をクリアした業者に『優良企業』の認証マークを発行しており、それも業者選びの参考になりそうです。
「現在50社ほどが『優良企業』マークを受けており、さらに認定企業を増やしていく予定です。ぜひこれも参考にして、いい業者と出会ってほしいです」(髙橋さん)
しかし、どんな業者であるかは、蓋を開けなければわからない部分もあります。
「ハウスクリーニング業というのは、他人の家に上がって作業する仕事です。汗だくで身なりが悪かったり、むっつりして態度が悪かったりすると、いくら技術力が高くても嫌ですよね」(髙橋さん)
だからこそ、もし相性のいい業者と出会ったら、長く付き合えるよういい関係性を保ちたいものです。
「ハウスクリーニングは、最低でも年に1回。できれば3カ月に1回、半年に1回など定期的に行うことをおすすめします。最近は、定期コースを組んでいる業者もありますので、上手く活用していただきたいですね」(髙橋さん)
掃除に取り掛かってもらう前に、できるだけモノの片づけをしておくと、よりプロの力が効果的に発揮されます。
「特にキッチン掃除は、鍋や調味料などが出しっぱなしになっていると、それらの片付けに手間取ってしまいます。最初から片付けておいてもらえれば、プロにしかできない作業に専念できるので、より丁寧な仕事が実現しますよ」(髙橋さん)
さらに、日本ハウスクリーニング協会では、「アレルギー症状のある家族がいる場合、使用する洗剤を確認すること」など、ハウスクリーニングの前に確認すべきことや、当日に気をつけるといいことを、ガイドラインとしてまとめています。
「トラブルを防ぐためにもぜひ読んでみてください」(髙橋さん)
取材・文=本嶋るりこ
教えてくれたのは
髙橋敬子
NPO法人日本ハウスクリーニング協会理事。JHAハウスクリーニングスクール女性アカデミー東京校代表。整理収納清掃(3S)コーディネーター指導員。一般社団法人日本家事代行協会理事長。ハウスクリーニングのスペシャリストとして、掃除の仕事を通じて女性の社会復帰支援や子育て支援にも力を注ぐ。講演、テレビ、雑誌などへの出演も多数。