掃除・収納

これでマスター!意外と知られていない掃除用洗剤の正しい使い方

目次

掃除用洗剤にはさまざまな種類があり、「どれをどこに使えばいいの?」と迷うこともありますよね。そこで今回は、掃除とお片付けのプロ・大津たまみさんに、基本的な掃除用洗剤の種類と、正しい使い分けをわかりやすく解説してもらいました。さらに、番外編として、あると便利な掃除用洗剤もご紹介!日々の掃除をもっとスムーズにするヒントをお届けします。

洗剤を使い分ける3つのメリット

キッチン用にトイレ用、浴室用、さらに除菌、カビ取り、クエン酸、重曹……掃除用洗剤にはさまざまな種類がありますが、家庭ではどのような洗剤を揃え、どう使い分ければいいのでしょうか。

大津さんは、洗剤を使い分けることには大きく3つのメリットがあると言います。

「掃除用洗剤を適切に使い分けることで、まず、汚れを効果的に除去できます。汚れに合った洗剤を使えば、短時間で効率的に掃除できるからです。つぎに、素材の保護につながります。誤った洗剤を使うと、変色や痛みの原因になることもあるので注意が必要、ということです。さらに、菌やカビの発生を防ぐ効果も期待できます。例えば、防カビ成分配合の浴室用洗剤を使えば、長期間清潔な状態を保つことができます」(大津さん)

こうしたメリットを最大限に生かすためにも、洗剤の正しい使い分けを改めて確認してみましょう。

最低限揃えておきたい掃除用洗剤は9つ!

まずは洗剤を選ぶ際の基本的な考え方についてです。洗剤は成分ごとに、「酸性」「中性」「アルカリ性」の3つに分類することができます。

「代表的な洗剤を挙げると、酸性のものだと①トイレ用の強酸性洗剤、弱酸性は②クエン酸、アルカリ性は③キッチン用の強アルカリ洗剤、弱アルカリ性は④セスキ炭酸ソーダ、⑤重曹など。⑥浴室用洗剤、⑦食器用洗剤、⑧マルチクリーナーと呼ばれるものは中性ですね。さらに、カビ取り用として⑨塩素系漂白剤を用意すれば、家庭の掃除はほぼカバーできると思います」(大津さん)

掃除用洗剤は“成分別”で使い分ける

洗剤は成分ごとに、それぞれ得意とする汚れが異なります。酸性洗剤は、水垢、石鹸カス、カルキ汚れ、尿石などのアルカリ性の汚れに効果的で、アルカリ性洗剤は、油汚れ、皮脂・手垢汚れといった酸性の汚れを効果的に落とします。

一方、中性洗剤は洗浄力こそ穏やかですが、素材や手肌に対して安全性が高く、広い用途で使うことができます。

「私たちプロは、掃除用洗剤を選ぶ際に、パッケージの表面ではなく裏面の成分を確認して使い分けているんです。さらに、液性については、酸性やアルカリ性の度合いが高いほど洗浄力が強まりますが、そのぶん素材を痛めるリスクがあり、手肌も荒れやすくなるという特徴があります」(大津さん)

トイレには酸性洗剤

具体的な掃除箇所として、酸性洗剤は主にトイレの尿石や水垢、さらにバスルームの鏡や蛇口の水垢、石鹸カスを落とすのにも効果的です。

トイレの日常的な軽い汚れには弱酸性のクエン酸水を、こびりついた頑固な汚れには酸性度の高いトイレ用洗剤を使いましょう。

「ただし、酸性洗剤は金属を腐食させ、錆びの原因になるため注意が必要です。鏡を掃除する際には、周りの金属部分を保護するといいでしょう。また、強い酸性洗剤をトイレ掃除に頻繁に使うと、配管を痛めるので、毎日の掃除にはクエン酸水がおすすめです」(大津さん)

大理石やホーロー、セメント、コンクリート、ゴムにも酸性洗剤は適さず、蛇口やシンクの掃除に強い酸性洗剤は使用できません。

キッチンにはアルカリ性洗剤

アルカリ性洗剤は、キッチンの油汚れや、皮脂・手垢汚れに効果的です。

コンロや作業台、レンジフードの外側などに飛び散ったばかりの軽い汚れには弱アルカリ性の重曹水、あるいは重曹よりアルカリ度が高いセスキ炭酸ソーダ水を使用。コンロの五徳やバーナー周り、レンジフードの内側などの油汚れで、時間が経ち、こびりついた汚れにはキッチン用の強アルカリ性洗剤を使いましょう。

また、ドアノブやスイッチ類、窓ガラスなどの手垢汚には重曹水が有効です。

「重曹水やセスキ炭酸ソーダ水、クエン酸水を作る際には、一度にたくさん作ると劣化しやすいので、100mlずつを目安に作るといいです。濃度を高めると汚れがよく落ちると思われがちですが、効果は変わらず、例えば重曹だと白い粉が点々と残ったりします。希釈の割合は、製品の表示に従ってください」(大津さん)

なお、アルカリ性洗剤は、天然畳に使うと変色の原因になります。表面加工されたフローリングや家具、漆喰、レザー、アルミ、大理石も傷ませるので注意が必要です。加えて、強いアルカリ性洗剤はガラスの曇りの原因になるので、使用は避けましょう。

リビング・バスルームには中性洗剤

界面活性剤で汚れを落とす中性洗剤は安全性が高いのが特徴で、主にリビング、バスルーム、食器用として使用します。

リビング用のマルチクリーナーはサッシやガラス、フローリング、照明器具、家具など、浴室用洗剤は浴槽や床、壁などの毎日の掃除に役立ちます。

「浴室は肌に直接肌に触れる場所なので、いつものお掃除には、安全性の高い中性洗剤を使うことをおすすめします」(大津さん)

万能かに思える中性洗剤ですが、例えばマルチクリーナーでも、水拭きでき不可の素材や漆、液晶ディスプレイなどには使用できないので、製品情報をよく確認しましょう。

カビには漂白剤

塩素系漂白剤は、浴室のゴムパッキンや壁、タイルのカビ取りに使用できるほか、キッチンのまな板、ふきんの漂白などにも使えます。

「カビは、カビ取り専用でなくてもかまいませんが、漂白剤がないと除去できません。漂白剤は酸素系より塩素系のほうが漂白効果が高いため、どちらか1つを選ぶなら塩素系をおすすめします」(大津さん)

特別用途の洗剤

これらの基本となる掃除用洗剤に加えて、持っておくと便利な洗剤を2つ、大津さんが教えてくれました。

「金属みがき専用洗剤のピカールは、金属をきれいに光らせてくれるので、私たちプロもよく使っています。塗装や表面加工が施された金属には使えませんが、ドアノブや自転車の金属部分もきれいになりますよ。もう1つが、排水口洗剤です。詰まりや臭いを防ぐためにも、これを使って浴室や洗面所、キッチンの排水口を定期的に掃除しましょう」(大津さん)

また、汚れは時間が経つほど落としにくくなり、強い洗剤が必要になるため、早めに掃除すると効率的です。ホコリのような水分が含まれない汚れや、油分の少ない食べこぼしなどは水拭きだけで十分落ちる場合があり、また、油汚れや皮脂・尿汚れでも着いたばかりの軽い汚れなら弱い洗剤で落とせます。

「掃除用洗剤は、なるべく強いものを使わず、少量で済ませられるのが理想だと思っています。洗剤を流した排水は、自然に分解されるまでに時間がかかることがあり、そうした環境への影響にも配慮できるといいですね」(大津さん)

取材・文=杉原由花 イラスト=ヨシカワミノリ

教えてくれたのは

大津たまみ

1970年生まれ、愛知県出身。一般社団法人日本清掃収納協会会長。株式会社アクションパワー取締役会長。一般社団法人生前整理普及協会代表理事。清掃収納マイスター1級認定講師のほか、ジュニア片付け収納マイスター認定講師、風水師の資格も。「お掃除お片づけ」のプロとして30年以上のキャリアを持つ清掃業界のカリスマ的存在。年間200本以上の講演のほか、テレビ・雑誌・ラジオなどで片づけや掃除法を伝授する

共有

最新記事

人気の記事

カテゴリ

TOP