食のプロが伝授! 夏ギフトの定番「高級そうめん」を最高のごちそうとして味わうために知っておきたいこと
お中元の定番ギフトといえば「高級そうめん」。化粧箱に一糸乱れず整然かつ美しく並べられた姿は、普段スーパーの商品棚から無造作につかんで買っているものとは明らかに違う佇まい。しかも、ちょうど「夏バテでそうめんくらいしか食べる気がしない……」というタイミングに届くからありがたい!
でもちょっと待って、そもそも高級そうめんって普段食べているそうめんと何が違うの? そして何より、めったに食べられない高級そうめんなのだからきちんとごちそうとして味わいたい! 料理家/フードスタイリストの上田友子さんが、高級そうめんのポテンシャルを引き出すために知っておきたいポイントを伝授。失敗しないゆで方、アレンジつけだれ、盛りつけアイデアを教えてくれました。
高級なものほど職人技で細く繊細に! グラムは同じでも本数が多い
「そうめんは細いものほど高級とされます。麺を細くするには確かな技術と手間が必要だからです。わかりやすく説明すると“グラムは同じでも本数が多い”のが高級そうめんです」(上田さん)
高級そうめんをいただいいたら、ゆでた後のつやつやした透明感、上品でなめらかな喉ごし、国産小麦など材料の良さがわかる豊かな風味といった特徴にも注目してみましょう。
「そうめん本来のおいしさを最大限に引き出すには、手際良く、正しくゆでることが大事です」(上田さん)
ということは、ゆで方さえ間違えなければ、そうめん料理は必ずおいしく仕上がるといっても過言ではない!?
【手順①】麺についている帯はあらかじめ取っておく
「麺についている帯はゆで始める前に取っておきましょう。帯を取りながら麺を投入しているとゆで上がりに違いが出てしまうからです。ゆでた麺を洗うためのザルとボウルも先に準備しておけば慌てなくて済みます」(上田さん)
【手順②】大きめの鍋にたっぷりの湯を沸かす
「直径が麺の長さより大きい鍋でたっぷりのお湯を沸かしてください。お湯がグラグラと波打つように沸騰してきたら麺を入れるタイミングです。束のままドサッと入れるのではなく、パラパラ~ッと入れましょう」(上田さん)
【手順③】ゆでている間は鍋から離れない
「麺を入れたら鍋から離れず、ゆでることに全集中! 麺を入れた直後は麺どうしがくっつかないように菜箸でやさしくほぐします。再び沸騰してきたら鍋の中で麺が踊るくらいの火加減をキープしてください。噴きこぼれそうになったらコップ1杯の差し水をします」(上田さん)
【手順④】素早くザルに移してぬめりがなくなるまで洗う
「パッケージに記載されたゆで時間になったら、素早くザルに移します。水を張ったボウルにザルごと浸けて粗熱を取り、流水で麺をもみ洗いします。麺の表面にある油分やぬめりが取れるよう、両手でこすり合わせるように洗いましょう」(上田さん)
【手順⑤】しっかり水を切る
「手の感触で麺がほどよく冷えていることを確かめたら、ザルをあげ、水気を切ります。このタイミングでしっかり水を切ることで、麺とつけだれがうまくからみあい、上質な小麦の風味も感じられて、おいしさが一層アップします」(上田さん)
「私はそうめんが大好きで、夏に限らず1年中そうめんランチを楽しんでいます! 」(上田さん)
そんな上田さんはつけだれのレパートリーも豊富。今回は市販の麺つゆでカンタンに作れるレシピを2つご紹介!
【アレンジつけだれ①】鶏南蛮そうめん
材料(2人分)
そうめん(乾)…4束
鶏もも肉…100g
九条ネギ…1本
麺つゆ(ストレートタイプ)…200ml
水…50ml
サラダ油…小さじ1/2
粉山椒…適宜
1. 鶏もも肉は2~3cm大に切り、九条ネギは斜め薄切りにする。
2. そうめんは表示通りにゆでて、ザルにあげたら流水でよく洗い、水気をきって器に盛っておく。
3. 小鍋にサラダ油を熱し、鶏もも肉を皮側からこんがりと両面焼いたら、余分な油をキッチンペーパーで拭き取る。九条ねネギを加えてサッと炒めたら麺つゆと水を加えてひと煮立ちさせる。
4. 温めた3を器に盛り、お好みで粉山椒を添える。
※お好みでつけだれを冷やしてもOK
【アレンジつけだれ②】ガスパチョ風つけそうめん
材料(2人分)
そうめん(乾)…4束
フルーツトマト…2個
キュウリ…1本
紫玉ネギ…1/4個
すりおろしニンニク…少々
アップルビネガー…大さじ2
麺つゆ(ストレートタイプ)…150ml
オリーブオイル…適量
1. フルーツトマト、キュウリ、紫玉ネギは小さめのざく切りにする。
2. そうめんは表示通りにゆでて、ザルにあげたら流水でよく洗い、水気をきって器に盛っておく。
3. ボウルに麺つゆ、アップルビネガー、すりおろしにんにくを入れて混ぜ合わせる。
4. 3をそれぞれの器に注ぎ、1の具材を好みの量加えてそうめんをつけていただく。
映える盛りつけでごちそう感アップ! プロの技を真似してみよう
フードスタイリストとして数多くの食卓をコーディネートしている上田さんが考える“映えそうめん”のポイントとは?
「涼やかさ、透明感、季節のあしらいに気を配ってみましょう。グッとごちそう感がアップしますよ!」(上田さん)
【盛りつけアイデア①】一口サイズに巻く
「麺を一口分ずつクルクル丸めて盛りつけてみましょう。パスタのようにフォークとスプーンを使って巻くのもおすすめです」(上田さん)
【盛りつけアイデア②】季節の飾り葉を添える
「青もみじや南天の葉といった季節の飾り葉をあしらうと、日本料理店で味わっているような雰囲気になります。すだちのスライスを添えても◎」(上田さん)
【盛りつけアイデア③】氷水に浮かべる
「水を張った大きな器に麺を入れ、氷を添えて涼やかに。より見た目の美しさと涼やかさがアップするので、透明感のある市販のロックアイスを使ってみましょう」(上田さん)
毎年、お中元の高級そうめんを余らせがちな人も、この夏はつけだれや盛りつけを工夫してそうめんを極めてみよう!
「手巻き寿司のようにトッピングをたくさん用意して“お好みそうめんパーティー”を楽しむのも◎。大葉、ミョウガ、ネギといった定番はもちろん、薄焼卵、シイタケの甘辛煮、焼肉など何でもアリ! 飽きずに食べ切れますよ♪」(上田さん)
監修・撮影=上田友子 取材・文=野中かおり
教えてくれたのは
上田友子
料理家/フードスタイリスト。食のプロフェッショナルとして、幅広いメディアでレシピ考案、調理、テーブルコーディネートなどを数多く手がけるほか、企業や地方行政へのアドバイス、講演も行っている。