おサイフにも地球にも優しい!簡単でおいしい下味冷凍術
目次
時間に余裕がある時に、購入しておいた食材をフリーザーバッグに入れ、さまざまな調味料で下味をつけ、冷凍保存。調理日の朝に、食材を冷蔵室に移動させておけば、夕方には下味のしっかりついたおかずを手軽に作ることができる。雑誌やネットなどで注目を集めている時短クッキングテクニック「下味冷凍」は、鶏むね肉に代表されるような、下味をつけるのに時間がかかる食材も中までしっかりおいしくなるだけでなく、硬さや生臭さといった気になる部分も解消。特売品など、まとめて購入したお手頃価格の食材をグレードアップさせるのにピッタリな調理法として人気を呼んでいる。
下味冷凍は、しっかり食材の中まで味が染み込むので、追加で調味料を加える必要がなく、塩分控えめなヘルシーメニューを楽しむことができる
1.忙しくてもすぐに食べられる!
朝、下味冷凍のフリーザーバッグを冷凍室から冷蔵室に移しておくだけで、夕食の下ごしらえの手間が一気に省けます。もし、冷蔵室へ移し忘れたとしても、フライパンに蓋をする「蒸し焼き調理」も可能ですよ。その際は、せっかくの食材が焦げないように適宜火力を調節してくださいね。
2.食材をよりおいしく!
下味により肉や魚の臭みが抜け、味がグッと染み込みます。それだけでなく、冷凍することで線維がいい感じに壊れ、歯ごたえのあるお手頃価格のお肉も、柔らかくなるんです。お値打ち価格の鶏むね肉や豚バラ肉は、特に下味冷凍調理をお薦めします。驚くほどおいしくなりますよ。
「下味冷凍には特に難しいこつは必要ない」と島本さん。より簡単、便利に活用するためのポイントを教えてもらいました
1.食材は可能な限り、平らに!
底の深いフリーザーコンテナだと解凍に時間がかかってしまうので、必ず食材はフリーザーバッグの中で平らにして保存しましょう。平らな状態ですと、冷凍室での収納スペースを取らないだけでなく、取り出しやすいですよ。
2.冷凍室用金属トレーで、古い冷蔵庫でも急速冷凍可能に!
急速冷凍室がない冷蔵庫でも、早く冷凍するには冷凍室用の金属トレーが欠かせません。100円ショップで買えるステンレス製やアルミ製のトレーを敷いた上にフリーザーバッグに入れた下味冷凍用食材を平らにして置くだけでOKです。2つの金属トレーでフリーザーバッグを挟むと、さらに早く冷凍できますよ。
3.フリーザーバッグ&食材は使い切りで!
「もったいない…」と思うかもしれませんが、やはり「食品を保存する」という観点からも一度使ったフリーザーバッグは、洗ってリサイクルプログラムで回収してもらいましょう。解凍後の食材も同様で、一度に食べきることを心掛けて。
紹介するレシピは下味冷凍で準備しておけば、どれも調理時間10分以内で作れる簡単なものばかり。調味料でしっかりと味が染み込んでいるので追加で味付けをしなくても、深みのある味が出せます
豚こまの焼き肉漬け 保存期間2カ月
材料(作りやすい分量)
豚こま切れ肉…200g
焼き肉のタレ…大さじ3
作り方
1.冷凍用の保存袋に豚肉と焼き肉のタレを入れ、軽くもんでなじませる。
2.空気を抜きながら平らにして袋の口を閉じ、冷凍する。
焼き肉サラダ
材料(2人分)
豚こまの焼き肉漬け(冷凍)…1袋
キャベツ…200g
赤パプリカ…1/3個
ゆで卵…1個
白いりごま…適量
作り方
1.豚こまの焼き肉漬けは冷蔵室に移して解凍し、フライパンで炒める。
2.キャベツはざく切り、パプリカはヘタとタネを取って細切りにする。
3.耐熱ボウルに2を入れて塩少々(分量外)を振り、ふんわりとラップをかけ電子レンジで3分加熱する。
4.器に3を盛り、1と半分に切ったゆで卵を盛り付け、白ごまを振る。
島本さんのおいしいポイント
下味により肉の臭みが抜け、味がグッと染み込みます。一緒に合わせる素材にも味が移るので、たっぷりの野菜と共にヘルシーメニューを楽しんでください。
鶏むね肉の香味漬け 保存期間2カ月
材料(作りやすい分量)
鶏むね肉(皮なし)…1枚(約200g)
A
酒…大さじ1
ごま油…大さじ1
顆粒鶏がらスープの素…小さじ1
おろしにんにく(チューブ)…2cm
おろししょうが(チューブ)…2cm
作り方
1.鶏むね肉は繊維に沿ってそぎ切りにし、フォークで数ヵ所穴をあける。
2.冷凍用の保存袋に1とよく混ぜ合わせたAを入れ、軽くもんでなじませる。
3.空気を抜きながら平らにして袋の口を閉じ、冷凍する。
鶏むねとエリンギの香味炒め
材料(2人分)
鶏むね肉の香味漬け(冷凍)…1袋
万能ネギ…5本
エリンギ…1パック(100g)
作り方
1.鶏むね肉の香味漬けは冷蔵室に移して解凍する。エリンギは長さを半分に切って、5mm幅の縦薄切りにし、万能ネギは3cm長さに切る。
2.フライパンに油をひかずに鶏むね肉とエリンギを入れ、中火にかける。
3.蓋をして3~4分ほど蒸し焼きにしてから炒め合わせる。
4.全体に火が通ったら、万能ネギを加えて軽く炒め合わせ、器に盛る。
島本さんのおいしいポイント
冷凍することで歯ごたえのあるお手頃価格のお肉も柔らかくなるので、お値打ち価格の鶏むね肉や豚バラ肉は、特に下味冷凍調理をお薦めします。驚くほどおいしくなりますよ!
鮭のヨーグルト味噌漬け 保存期間2カ月
材料(作りやすい分量)
生鮭の切り身…2切れ
A
プレーンヨーグルト…大さじ3
味噌…大さじ2
作り方
1.生鮭はキッチンペーパーでしっかり水けを拭き取る。
2.冷凍用の保存袋に1とAを入れて、ヘラを使ってなじませる。
3.空気を抜きながら平らにして袋の口を閉じ、冷凍する。
鮭のヨーグルト味噌焼き
材料(2人分)
鮭のヨーグルト味噌漬け(冷凍)…1袋
しし唐…6本
椎茸…4個
作り方
1.鮭のヨーグルト味噌漬けは冷蔵室に移して解凍し、漬けダレをしっかりぬぐいとる。しし唐は竹串で数ヵ所穴をあけ、椎茸は石づきを切り落とす。
2.フライパンにクッキングシートを敷き、鮭のヨーグルト味噌漬けは皮目を下にして1を並べる。
3.蓋をして弱火で4分ほど蒸し焼きにしてから、ひっくり返して全体に火が通るまで焼いて器に盛る。
島本さんのおいしいポイント
魚は身が崩れやすいので、調味料はヘラでなじませましょう。調理の前に漬けダレをぬぐいとってから焼くと、さっぱりと西京漬けのような味つけになります。
今回、さまざまな下味冷凍レシピを教えてくれた料理研究家・島本美由紀さんは、「使用する調味料もドレッシングや焼肉のタレ、ヨーグルトといった、使い切れずに消費期限切れとなってしまいがちなものを有効活用できるんですよ」と、「フードロス」という観点からも下味冷凍をお薦めしてくれた。
「おサイフにも地球にも優しく、簡単でおいしい」という、いいことずくめな「下味冷凍」。本格的な行楽シーズンを迎えるこれから、キャンプやバーベキューなどアウトドアのメイン料理としても大活躍すること間違いなしのレシピに、ぜひチャレンジしてみてほしい。
取材・文=中村実香 撮影=永田正雄
島本美由紀
50カ国、200回を超える海外旅行で得たさまざまな感覚を料理や家事のアイデアに生かし、手軽に作れるおいしい料理レシピを考案する料理研究家。エコの観点から食品保存や冷蔵庫収納を提案する「食品ロス削減アドバイザー」、「冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー」としても活動。公式YouTube「島本美由紀のラク家事CH」では、家事がラクになる多彩なアイデアを発信している。