まるでカレーのミュージアム! スパイスの達人・一条もんこさんのこだわりキッチン
目次
・壮観!全国各地の珍しいレトルトカレーが壁一面に
・珍しいスパイス酒や貴重な資料にワクワク!
・カレーに欠かせない!これが私の三種の神器
・3ステップでできる!秋の簡単スパイス料理
・日本食との相性も抜群!美容や健康効果も期待できるお手軽スパイス生活
さまざまなマニアのお宅に訪問して、こだわりのグッズやお宝アイテム、便利な収納方法などを教えてもらう今企画。第1回はスパイス料理研究家・一条もんこさんのスパイスに囲まれた事務所におじゃましました!
「以前は食べたレトルトカレーの種類をノートに書いていたんですが、今ではレトルトカレーの種類もとても多く、管理しきれなくなってきたので、4,000種類以降はカウントしていません(苦笑)」と話すのは、年間800食のカレーを食すスパイス料理研究家の一条もんこさん。各種メディアで引っ張りだこで、大手食品メーカーや飲食店のスパイス料理の監修、レシピ開発、プロデュースなど行っています。
そんな一条さんがレシピ開発から撮影、料理教室までを行う事務所は、オフィス利用可能な都内マンションの一室。足を踏み入れるとスパイスの香りが漂います。
「1Kのこぢんまりとした部屋ですが、その分いかに使い勝手をよくするか工夫しています。部屋の中央にあるテーブル兼作業台の下は収納になっていて、食器や調理器具をしまっています。食品メーカーとのタイアップ撮影や、一般の方向けのスパイス料理教室もここでやっているので、『この広さで!?』って驚かれます(苦笑)。でも、駅からのアクセスもいいし、よく使うものが手の届きやすい範囲にあったりと、私の今の生活(仕事)スタイルにはちょうどいいです」。
レトルトカレーはお土産などでもらったりするので、ラインナップは変動。1個3,000円以上する商品が並んでいたこともあるそう
壁を活用した手作りの収納には、全国各地の珍しいレトルトカレーや自身のレシピ本、カレー粉、カレーラーメン、グレイビーボート(カレーソースポット)など、カレーグッズがズラリ。栃木県茂木町の特産品であるユズを使った「ゆず香るクリームポークカレー」(下段右)、沖縄県限定の「ボンカレー(からくち)」(2・3段目中央)などのご当地カレーから、名店の味を再現したレトルトカレーがぎっしりと並びます。
「最近はレトルトカレーの種類も豊富で、100円台から高級食材を使った1,000円以上するものまで多種多様です。パッケージのデザインもかわいいものが多いので、ちょっとしたプレゼントにもいいですよ。たいていの人はカレーが嫌いじゃないし、保存も効くので。私の事務所では日々レトルトカレーを消費して入れ替えているので、インテリアとしても飽きません(笑)」。
もちろん、一条さんがプロデュースしたレトルトカレーも常備。柔らかな骨付きチキンと粒のままのホールスパイスが入った「スパイシーバターチキンカレー」(上段中央)や、一条さんの地元・新潟県の「佐渡汽船カレー イカのスパイスキーマカレー」(3段目左)、2日目のカレーを再現し累計10万食以上の大ヒットとなった「あしたのカレー」は、メッセージを添えてプチギフトとしても活用しているそう。
「あしたのカレー」は、カレーの縁で面会した衆議院議員・石破茂氏のサイン入り(上段左から2番目)!その下は大久保の人気店「SPICY CURRY 魯珈」の店主・齋藤絵理さんからのプレゼント
スパイスや調味料のほか、幻のスパイス教本なども収納
レトルトカレー壁の反対側に目を向けると、形もさまざまなスパイスや、スパイスを漬け込んだアルコール、幻のスパイス教本や海外の調味料などがカラフルに並んでいます。
「通常レシピ開発や料理教室で使うスパイスは6種類くらいですが、20~30種類は常備しています。スタッキングしやすい収納ケースに入れてあり、外での仕事にも持って行きやすいですね。スパイスを保存する際は、冷暗所で密閉が基本!ただし、冷蔵庫は出した時に室内との温度差で霜がつきやすいので、オススメできません」。
前列はホワイトリカーやブランデーなどのアルコールに、梅、唐辛子、八角、シナモン、クローブなどのスパイスを漬けたもの。後列はシロップに漬けたもの
エスビー食品の創業者である山崎峯次郎氏が1973年に発表した著書「香辛料」の5巻セット。非売品で非常に珍しいものを、縁があって譲ってもらったそう
上段のレンズ豆、金時豆、ナッツなどはインド料理で活躍。下段はフェンネル、カスリメティ、シナモンリーフなど。甘い香りとほろ苦い風味が特徴のカスリメティはバターチキンカレーなどに使用
2010年からインドカレー店や大手カレーチェーン、フランスやイタリアン料理店で腕を磨き、築き上げてきたオリジナルのカレーレシピは1,500種類以上という一条さん。そんなスパイスの達人が愛用するグッズを紹介してもらいました。
山崎金属工業 カレー賢人
山崎金属工業 カレー賢人
「洋食器の街・新潟県燕市のカトラリーメーカーが作る、カレーをおいしくするスプーンという魔法のような道具です!カレー好きの声を取り入れて形状や大きさを導き出した、カレー愛が詰まったスプーン。すくった時のルゥ、具材、ライスの配分が黄金比で、スプーンの口当たりが柔らかく滑らかなのも特徴です!」
<商品情報>
山崎金属工業 カレー賢人シリーズ(キャリ、ヒダリー、サクー)
熊谷打刃物製作所 注文包丁
熊谷打刃物製作所 注文包丁
「新潟で8代続く刃物屋さんが私のために作ってくれた包丁セットです。物にもよりますが、直接注文すれば1本4,000円~と意外とお手頃価格!カレーでよく使うタマネギとか、驚くほどスルスルっと切れちゃいます。力を入れなくてもスパッと切れるので、料理教室に来る生徒も欲しがるほど。今までいろいろな包丁を使ってきましたが、一番愛用しています!」
<商品情報>
熊谷打刃物製作所 注文包丁
問い合わせ:080-1274-0135
スリーエム ジャパン スコッチ・ブライト™ スクラブドット清潔スポンジ
スリーエム ジャパン スコッチ・ブライト™ スクラブドット清潔スポンジ
「洗い物って、スポンジで本当に変わります!このスポンジに出合うまではお買い得セットのスポンジを使い倒していましたけど、このスポンジはドットの突起の部分でカレーの汚れがスルッと落ちます。食べかすなどの汚れがスポンジの間に入りにくいので、清潔に長く使えます。嬉しいことに、長年愛用していたらコラボさせてもらいました!」
<商品情報>
スリーエム ジャパン スコッチ・ブライト? スクラブドット清潔スポンジ
キノコとダシの旨味が詰まったご飯に、クミンの華やかな風味が調和した炊き込みご飯。たまり漬けはクミンシードの食感と香りがアクセントに。シナモンの優しい甘味と程よい辛味がサツマイモによく合う
今ハマる人が続出しているスパイス料理。奥の深いイメージがあるスパイス料理の基本とコツ、簡単にできるオリジナルのレシピを一条さんに教えてもらいました。
「スパイスはいろいろな種類がありますが、数種類あれば大丈夫!クミン(香り付け)、チリ(辛み付け)、ターメリック(色付け)の3種類が基本で、ほかにも香り付けのコリアンダーやカルダモン、シナモンまであればバッチリです!スパイスはパウダー状のものと粒のままのホール(シード)タイプがありますが、ホールは調理前に油と炒めて香りを引き出して、パウダーは調理中に加えて香りや辛味、色付けをするのがスパイス料理の基本です。スパイス料理って言うと構えてしまいがちですけど、実はお手軽ですし、日本の食生活にもすごく馴染みやすいので、是非作ってみてください!」
クミン香るキノコの炊き込みご飯(2~3人前)
材料
米…2合
キノコ…100g
クミン(シード)…小さじ1
粗挽きブラックペッパー…小さじ1/2
醤油…大さじ1
塩…小さじ1
コンソメスープ…380ml
油…大さじ1
作り方
1.白米を研いでコンソメスープを入れる
2.ブラックペッパー、クミンシードを油で炒って、香りが出たらキノコ類を炒める
3.2と醤油、塩を炊飯器に入れて通常モードで炊く
大根の和風スパイスたまり漬け(2~3人前)
材料
大根…200g
酢…大さじ2
醤油…大さじ2
油…大さじ1/2
みりん…大さじ2
クミン(シード)…小さじ1/2
唐辛子…1本
作り方
1.フライパンにクミンシードを入れ、油で炒る
2.大根以外をフライパンに入れて、沸騰したら火を止め大根を入れる
3.冷蔵庫で30分以上漬ける
さつまいものスパイシー大学芋(2~3人前)
材料
サツマイモ…200g
油…大さじ1/2
醤油…小さじ1
砂糖…小さじ1/2
すりごま…大さじ1/2
チリペッパー…ひとつまみ
シナモン…小さじ1/4
作り方
1.サツマイモを1cm角の棒状に切り、ラップをして500Wの電子レンジで3分加熱する
2.フライパンに油を熱して1をこんがり炒める
3.醤油、砂糖、シナモン、チリペッパー、すりごまを入れて、混ぜ合わせる
日本食との相性も抜群!美容や健康効果も期待できるお手軽スパイス生活
「クミンには整腸作用があるとされていて、スパイスは体の機能を整える効果が期待されます。しかも意外にも日本食との相性も抜群で、醤油やみりん、味噌といった発酵調味料を入れると、発酵調味料が食材とスパイスの繋ぎ役になって、スパイスの香りがより引き立ちます。私は新潟出身なのでほとんどのスパイス料理に新潟県産のお米を使っていますが、スパイスの強い香りに日本米の甘さが合うんですよ。ほかにも、100円台のレトルトカレーのアレンジとして、梅干しがオススメです。梅干し1粒を潰しながら、もしくはチューブタイプの練り梅を少しずつルゥと混ぜて食べると、程よい酸味が効いてスプーンが進みますよ。カレーやスパイスはたいていの食材に合う自由度の高さが魅力ですし、組み合わせ次第でいくらでも世界が広がります。スパイスは100円ショップでも売っているので、おうち時間でカレー&スパイス生活を楽しんでみてください!」
取材・文=本間奈保子 撮影=永田正雄
一条もんこ
家庭科教諭免許、フードコーディネーターなどの資格を持つスパイス料理研究家。幼少期からカレーに目覚め、2010年からさまざまなレストランでカレー修業を始めて、2015年にカレー大学院を首席で卒業。現在はカレーとスパイスの料理教室「Spice Life」を運営。著書に「おうちで楽しむスパイス料理とカレー」(池田書店)ほか。大手企業の公式レシピや商品開発、メディア出演などで活躍